kiji

2015.4.25 喉元過ぎれば熱さ忘れ
 しばらくの間、体に関する話題にお付き合い願いたい。今回は喉(のど)に関する諺や成語(ひとまとめで慣用的に使われる言葉)についてその意味や使い方について取り上げた。
 のどは口から腹に通じる入り口にあり、食物を飲み込む場所と言えるだろう。声帯もその上部に付いているので発声の源でもある。
 この喉に関する諺で最も有名なのが「喉元過ぎれば熱さを忘れる」である。どのような状況を言い表すかと言うと、苦しい時が過ぎれば、その時の苦しさもその時受けた恩も簡単に忘れてしまうことのたとえに使われる。
 表現例を上げると「困った時にはさんざん世話になりながら_で、今は知らん顔だ」などを引き合いに出すことができる。もとは「熱いものも飲み込んでしまえば、その熱さを忘れてしまう」からきている。確かに舌は火傷しても、喉が火傷するとはあまり聞いたことは無い。私なども失敗しても性懲りもなく同じような誤りを犯し続けている。困ったものだ。
 他の例を上げると「喉から手が出る」という言葉がある。これはどうしても欲しいと思う気持ちのたとえで「_ほど欲しい幻の名品」とか「_欲しかったチケットがゲットできた」などと使う。
 この2つが代表的諺だが、他にも「咽喉の地」と聞きなれない成語もある。これは極めて重要な場所のことで、高校球児の憧れの地甲子園などがそれに該当する。
 これもあまり聞かない「美味も喉三寸」という諺がある。これは楽しいと思うことは一瞬しか続かないというたとえに使われる。食べ物がおいしいと感じるのは喉を通り過ぎる一瞬に過ぎないことからきているが、いかにも日本的な諦めの感じ方を表現している。
 こうして見ると、どうも嬉しいたとえにには使われていない。口直しではないが「のど自慢大会」などは、喉の良さを競うもので、全国から集まった歌い手が、自慢ののどを披露するもので、これはこれで、鳥がさえずるのに似て、本人が一番酔いしれている風に見え、それが面白い。



 
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