kiji

2015.2.16 風花
 晴れていた空に、急に薄雲が広がり、冷たい風が顔に吹き付け、何やら白い粒が宙を舞っている。まだ、日差しが残る中、自在に舞うこの白い粒の正体は、冬の名残の「風花(かぜはな・かざばな)」と呼ぶものだ。
 日本海側は大雪で風も強いということだから。その一部が太平洋側まで流れ込んできたせいだろう。
 風花や さがす言葉の すぐに消ゆ (笠井美和子)
 風花は、晩冬の季語だそうだ。この句にあるようにほんの僅かな時間だけ、人の心に囁きかけ、すっと消え去る。
 こんな時は頭の中に文案が浮かぶものだ。急いで近くのコンビニに飛び込み、100円コーヒーを注文し、店の一角に設けられたドリンクコーナーに席を取る。
 浮かんだ文節が、消えない内に筆を走らせる。どうにか文脈がまとまりかけ、ふとガラス越しに空を見ると、一塊の雲に夕日が映えて赤く染まっていた。
 一段落したところで、外にでると、普段の寒々とした夕暮れ時に戻っていた。
 こんな時は、何となく感傷的になり、心が侘びしくなるものだ。そんな思いを振り切るように、家路を急ぎ、ふと道端を見ると、秋の七草の時は元気の良かったススキが、うらぶれた姿をして、それでも大きく頭を垂れ、立ち枯れていた。
 こんな一句が浮かんだ。
 道の端に ポツリ残りし 枯れすすき (風楽) 

 
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