kiji

2015.5.22 生活六考(衣)
 生活六考最初は、衣(衣服と身の回り品を含む)について考えて見ることにする。
 原始の時代から人は身を守るために、体に纏うものを着けて生活してきた。
 時代の変化と進歩に伴い、それは大きく変貌し続けている。革から繊維へと変わり、素材や機能性が追求され、より快適なものへと技術の革新が進んでいる。
 戦国時代には甲冑などといった今では不要なものが、武士の世界では欠かせなかった。今でも博物館に行けば見ることができるが、位に応じて華美で芸術的造りであり、それは今の時代でもブランド品という名に変わって生き続けている。
 現代は素材革命により、安価で軽量かつ機能的な衣料が簡単に手に入る。ユニクロのヒートテック、ゴアテックスのレインウエア、ケプラーの防弾ベストなどは素材革命の代表格といえよう。
 日本製と中国製といった価格の2極化も進んでいる。贅沢を言わなければ、中国製で十分事足りる。
 最近聞かなくなった言葉に「一張羅(いっちょうら)」という言葉がある。これは「着たきり雀」とう言葉にも通じる。いつもそればかり着ているもので、他に選択肢がない着方であり、貧困の極みの言い換えともいえよう。着るものに事欠く状況は、わが国では殆どないだろう。子どもの頃当たり前だった、お下がり(おさがり)という言葉も消えてしまった。兄から弟へ、姉から妹へと引き継がれていくのがお下がりである。当然下に行くにつれ、つぎはぎで生地も痛んでくる。仕立て直しは母親の仕事で「母さんが夜なべして編んでくれたセーター」でもないが、何かそんな時代があったということは、今の若年世代には信じられないだろう時代だった。
 さて、身の回りを見れば、社会人時代の背広と服飾類が沢山残ったままで、洋服ダンスや衣装箱の中で眠っている。もうあまり使われる機会はないだろう。そうした無用化した衣装類で我が家の狭いスペースはさらに狭くなっている。
 これも飽食の時代のせいなのか。

 
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