2015.10.31 自分の殻
人は誰でも自分の殻というものを持っている。卵の殻のようなものであるが、目には見えない殻である。卵の殻のように一度破れたら元に戻らないものではなく、出入り自由な殻である。一種のシェルターのようなものであると考えればよい。
子どもが親に叱られると、黙りこくってしまうことがある。自分の殻に閉じこもってしまった状態だ。自分の殻とは、特に自分に対して行われる他者からの精神的脅威から逃れるバリアと言えるだろう。先に誰でも自分の殻は持っていると書いたが、異常な形で殻が形成される場合もある。例えば「PTSD(心的外傷後ストレス障害)は地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災、あるいは、いじめ、テロ、監禁、虐待、パワハラ、モラハラ、ドメスティックバイオレンス、強姦、体罰などの犯罪、つまり、生命が脅かされたり、人としての尊厳が損なわれるような多様な原因によって生じうる。(wikipedia)」
一旦このような障害を負ってしまうと、元に戻ることはない。表面的には普通な状態を維持できるが、パニックに陥ると、いとも簡単に深い殻の中に舞い戻ってしまう。心の傷は身体の傷より治り難いということである。
まったく自分の殻を持たない人などいないと思うが、無警戒で、ある意味無神経かつお人好しな人はいるものだ。疑うことを知らない。もしくは騙されやすい。こういう人は自分の殻が薄いのかもしれない。私から見れば羨ましい人である。
そんな人でも痛い目に合うと、「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く 」( 熱い吸い物を飲んでやけどをしたのにこりて、冷たいなますも吹いてさますという意。前の失敗にこりて必要以上の用心をすることのたとえ)のように用心深くなり、殻が強くなるものだ。
よく「自分の殻を破って」などという表現をする人がいるが、自分の殻はことほど左様に、簡単に破れるものではないし、むしろ自分の殻の状態を認識して、自在に出入りすることを習得すべきであろう。
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