日常細事


kiji

2016.12.21 マイナス思考
 一般的に人は、ついつい悪い方に物事を考える傾向が強いものだ。こうしたマイナス思考になる要因にはマスコミなどの報道が動機になる例が多い。マスコミにはそういった面で、世の中の方向をマナス思考しないという責任も負っていると思う。
 とくに将来のイメージを悪くするような記事の掲載には慎重を期して欲しい。一例を上げてみよう。これは日経新聞の12月19日付一面を飾った大見出しだ。「社会保障債務2000兆円に達する」先ずこの数字に気の弱い私などドキッとする。実のところは現在の話ではない。2030年の予測記事である。経済学者の予想ほどいい加減な読みはないぐらいに的を外す。記事の内容をピックアップしてまとめると「現在後期高齢者一人当たりの医療費の平均は93万2千円で総額50兆円に上る」これをベースに予測すると「1961年次は8.19人の現役世代が年金者を支えていた。それが2030年には支え手は1.65人に減ってしまう。それは団塊の世代が80歳に達するからだという。その結果社会保障給付費は170兆円(現在50兆円)になるだろう。とりわけ後期高齢者医療費は1.5倍の212兆円に達する。こうなると、国と地方の債務残高は名目国内総生産(GDP)の250 %に達し、日本経済は破綻する。これは主に働き手の減少に起因する」といった内容である。
 こういう記事を読むと、何か生きているのが悪いような気になる。保険料1割負担の後期高齢者は、自分たちの存在が世の中を苦しめているのではないかという、マイナス思考に陥ってしまうだろう。記事を書いている側は社会に警鐘を鳴らしているつもりだろうが、全く裏目に出て、単なる年寄りいじめになっていることに気が付かない。
 どうも報道の体質は、現在の状況判断だけで先を見ようとする傾向が強い。プラスの要素を書けば、もしそうならなければ、そのツケを払わされるぐらいに考え、外れても「好転して良かったね」ぐらいに逃げ道を残しておく。
 経済通が揃っている日経なら、日本の将来をプラス思考で捉える要素を探し出して、国民を勇気づけてもらいたいものだ。



 
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