日常細事


kiji

2016.8.27 比べる(2)
 「柱の傷は おととしの 5月5日の 背くらべ」この歌は、作詞海原厚、作曲中山晋平も「背くらべ」の出だしの一節。最後の一節は「遠いお山も背くらべ・・・一はやっぱり富士の山」と比べる対象が人から山に移っている。
 この比較はいづれも高低で比べている。比べ方も色々で、自分の歳とともに成長する姿を比べるものや、世界では低い山でも、日本では一番といった元の基準でいかようにも比べることができる。今回のオリンピックで、日本は活躍して多くのメダルを獲得したが、世界では6位。アメリカの121個に比べ41個と約3分の1。上には上があるものだ。
 上には上という言葉で思い出すのが、福沢諭吉の「学問のすすめ」の一節「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名な言葉だ。これは人間はすべて平等で身分に上下はないということだが、現実は必ずしもそうはならないようだ。
 はるか昔の平安時代の教訓書『実語教』にも「山高きが故に貴(たっと)からず、・・・」という名言が残されており、人は高い位に登れば登るほど徳を積まなければならないと戒めている。
 このように人を比べるのは難しいことで、キーワードで示した「腕前」や「能力」は上下で比べ、「性質」は良し悪し、「外見」は美醜、「成績」は数字で判定したり、優良可(甲乙)といった比べ方で表現される。
 これらの判断基準は物差しとして分かる気もするが、何かにつけ物議を醸す元となる比較ではある。いたずらに比べると、とんでもない愚を犯すことになる。自戒すべし。


 
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