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 一泊の集い

 長い付き合いの仲間たちと定期的に会うことが楽しみの一つになっている。誰もが高齢になって大分くたびれてしまったが、50年近く毎年数回宿泊して交流を続けている。
 最初の内は温泉旅行で観光気分だったが、そのうち歩き回る観光より、共通の趣味で集まる麻雀仲間に変わった。定宿も安くて近い場所となった。昼に集合し、翌日昼までひたすら麻雀漬けの時間を過ごす。メンバーは6人と定まっているので、交互に休むことができる。比較的ゆっくり話すのは夕飯の時だけである。酒を飲むものはご機嫌になり、昔話に笑いの花が咲く。みんなそれほど現状や将来には目を向けたくないもので、どうしても働いていた時の話に戻ってしまう。この宿の料理はおいしくて私などは食事制限されているのに、この時ばかりは羽目を外す。一時間ぐらいで宴席は終わる。直ぐに卓を囲む。そしてそれが夜半まで続く。
 この年で普段は禄に運動もしないので(私の場合)体には相当の負担となる。そのツケは必ずあり、約1週間は体の調子が悪い。私以外でも皆歳だから徹夜などできる体力はない。多かれ少なかれ疲れが残ることになるだろう。それでも定期的に合っては同じことを繰り返す。それは逢うことに意義があるのである。気心のあった者たちだけに許させる気楽さがある。遠慮がないということは、心をリセットできる効能がある。
 コラムにも書いたことがあるが、いつも今日が恙(つつが)なく過ごせれば良し、ということで元気な姿を記念写真に残すことは忘れない。全員の集合写真を宿の人に撮ってもらう。それを焼き回して送るため、翌日中にその作業を終わらせ、手紙を付けて郵送する。私にはけじめの儀式のようなものだ。必ずその文面には再会を約す文言を入れる。そうするとまた次の時があると信じているところもある。今年は最初の80歳到達者が出る。最も若い仲間が今73歳。全員が80歳まで到達できて集まれるようなら、もはや何も言うことは無い。



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