2017.1.4 人生の節目(2)
人生の節目(ふしめ)を冠婚葬祭という切り口で解き明かしていく。
冠という漢字は「かんむり」と訓読みする。
「かんむり」とは人間が生まれて一人前になった印にかぶる儀式に深く関わっている。字源を辿ると「かんむりをつける。男子が二十歳で成人式をあげ、かんむりをつける。元服」とある。成人になるということは、その後は自分の道は自分で切り開いていくのだということを意味する。
ここで少し時間を巻き戻すと、それまでは親などが大切に育てきたという証でもある。
生まれ、健康に育つということは当たり前のようだが、私のように戦中 育ちにとっては、生き残ることそのこと自体が難しい時代であった。私は伝統的な通過儀礼というものを経験した記憶がない。その時代世の中全体に儀礼をおこなう余裕などなかったのである。
ここで成人するまでの過程で行われる伝統的通過儀礼とはどんなものなのか、節目としての「成長の儀礼」としてまとめてみた。
出産後の生児に対する儀礼は、産神(ウブガミ:出産の安全を守護する神様)に対するもので、産神祭り、産着祝い、名付けといった順で進められる。男児は三十二日目、女児は三十三日目に初宮参りをする。百日目には食い初めの儀式が行われる。これは生児が歯が生えるほどに成長したことを祝う儀式だ。
そして、暦の上では、男児は5月5日(こどもの日:鯉のぼりや武者人形を贈って祝う)、女児は3月3日(雛祭り)に節句祝いが行われる。
次の大きな節目は七五三祝いで、毎年11月15日になると三歳、五歳、七歳に達した児が氏神様などに参る風習で、これらは今でも広く行われている。
日本では七歳までを神の子といって特別の扱いをし、七歳という節目に地域の仲間入りをする「子供組加入儀礼」が行われる。日本では昔から七歳ぐらいから十四、五歳くらいの男女によって子供組が構成されていた。子供組 の行事は小正月の訪問、道祖神の祭り、鳥追い、左義長などの神事に際し、子供の年齢に応じて組織ができ、それぞれが役割を分担する。
一例を上げると大磯の左義長は「 松の内(1月7日)が過ぎると子どもたちは正月のお飾りを集めて歩き回り、セエノカミサンのお仮屋を作りそこに籠り、14日に集めたお飾りなどを燃やす道祖神の祭り」のように、子どもに神と人間の接し方を理解させる学習の機会といえよう。こうして子どもは徐々に社会性を身に付け成長していく(次回は成人式について考察する)。
2017年の記事を閲覧するには日常細事のアイコンをクリックしてください。
©2013 papa's_pocket. All rights reserved.