2017.4.21 生活の知恵(その一)
人々が長い暮らしの中で培ってきたのが生活の知恵である。ものを大事に使う、節約をする、残すといったところにその工夫が随所に見られるものだ。
卑近な例を引けば、これはネットで調べたものだが、おばあちゃんの知恵というサイトがある。その中から一つだけ示すとしよう。
おばあちゃんと言うくらいだから、長い生活の中から生まれた知恵といえるだろうが「日本手拭(手ぬぐい)はその昔、旅には欠かせない七つ道具のひとつでした。手や体を拭く以外にも、風呂敷のように物を包むことができるほか、頭巾やマスク、紐、包帯など、さまざまな用途があることから、二本以上は持ち歩くことが常識だったそうです」といった投稿がある 。
これなどを読むと「なるほどな」と思うところがある。こうした生活の知恵は日本人らしい日本独自の知恵と言ってもいいだろう。
こうした生活にまつわる知恵は、日本では生活文化として根付いてきたもので、あらゆる場面で見ることができる。これらの知恵は農業や漁業を生業としてきた日本独特の気候風土によって生まれたものが多いが、その文化としての暮らしの知恵は、先の大戦による欧米主義への過度な転換により多くが途絶えてしまった。
例えばおばあちゃんの知恵などというものは、その古き良き時代とも言える日本人が日本人らしく生きた時代の名残と言ってもいいだろう。
先ず生活の知恵を伝統的(歴史的)に明らかにするために、なぜそれらが消えていく運命に晒されたかについて調べてみた。
これは「持続可能な社会形成に役立つ日本の伝統的知恵の発掘と その国際貢献のための研究第二次報告書」という名の長い論文の中から拾い出したものである。
「日本国民にとって初めての体験であるこの敗戦は、日本中を未経験の状況に押し込めたが、ただでさえ『舶来信仰』 の強い日本人が、敗戦後の復興に当たり、新しいものの導入に躍起になる一方で、それまで持っていた価値の多くを、古いものと見なし否定するに至ってしまったことも、ある意味では自然の成り行きであったのかもしれない」という言葉に代表されるように、日本人の持つ順応性というか『舶来信仰』的要素の強さも大きな要因となっている。 次回はどういう点を見直して日本人の伝統的生活の知恵を掘り戻すかについて考察することにする。
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