日常細事


kiji

2017.10.13 パッセンジャーズ
 私がペインクリニックに通うのに利用している電車は、京浜急行線で羽田空港と逗子間を走っているもので、上大岡を往復するための急行である。この電車の帰路は羽田空港行きであることを前提に乗客(パッセンジャーズ)が電車の中で何をして過ごすかを観察してみた。
 時間帯が午後1時頃であるため、乗客数は丁度席を埋める程度といったところだ。これは学生が大勢乗ってくる時間帯では無いためである。
 先ず年代順にウォッチしていくと、一つの傾向のようなものが見られる。
 年配層は大体寝ているのか、瞑想しているのか眼をつぶって座っている。
 中年層になると女性では二人の仲間と見受けられるが、何やら小声でおしゃべりしている。男女共ひとりなら年配層同様眼を閉じて座っている。以前なら読書している人も多かったが、最近の本離れか、この車両で本を開いている人は私も含め誰もいなかった。
 それ以外の成人層では大きな共通する行為が見られた。それは押し並べてスマホに集中しているということだ。電話をかけているわけでは無いから、おそらくSMS(電話機同士のメールのやり取りで全角70文字以内で相互の電話番号にメールを送ることができるシステム。簡単で経済的)やトランプ大統領で有名なツイッター(呟くという意味があるホームページへの書き込み)やフェイスブックなどの掲示板への書き込みや閲覧に熱中しているのだろうか、ひたすら小さい画面に向かって指を動かしている。中には本格派もいてタブレット端末を使っている姿も見られる。目の行き渡る範囲で、この年代層では殆んどがスマホをいじっている姿は異様ですらある。
 最後に紹介する乗客は車のついた大きなトランクを持ち込んでいる。これはこの電車が羽田空港行きだからという特殊なケースであるからだろう。
 このように観察してみて、若い世代は完全に本からスマホに取って変えられたという現実である。楽なシートに座って静かな環境の中では、私のように瞑想型の中年層以上と、ITの世界にどっぷりとはまり込んだ成人層及び青少年層といった二極分化がはっきりと浮かび上がっている。人の行動を観察するマンウォッチィッングは電車に限る。
 

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