2017.7.23 欲望の形
人には欲望というものがある。食欲、睡眠欲、そして前回「男と女」で書いたような性欲などを上げることができよう。一般的にこれらは人間の三大欲求と言われている。この他にも、より高次な欲望として、権力欲や金銭欲、出世欲などが上げられる。 これらの欲望は、いい意味で捉えれば、「青年よ大志を抱け」と言われるような向上心のもとにもなる。半面世の中のルールに反した悪事に走る場合もある。
自然の欲求として「あれが食べたい。これが欲しい。眠りたい」といった欲求は誰にでもある。これは生まれつきの本能のようなものだ。
「欲望・欲求」英語でdesire(needs)とは「人間(ヒト)、動物が、それを満たすために何らかの行動・手段を取りたいと思わせ、それが満たされたときには快を感じる感覚のことである。生理的(本能的)なレベルのものから、社会的・愛他的な高次なものまで含まれる。心の働きや行動を決定する際に重要な役割をもつと考えられている(Wikipedia)」と説明されている。
アブラハム・マズローという心理学者が「あれが食べたい」から「権力の座を射止めたい」という欲求について、低次元から高次元に至る 階層的に5段階の「欲求階層論」を唱えている。
それによれば、「人間の欲求は、『生理的欲求』『 安全への欲求』 『 社会的欲求』 『 自我欲求』 『 自己実現欲求』 の5つの段階がある」と言っている。
この5段階説を簡単に示すと、第一階層の「生理的欲求」は食べたい、飲みたい、寝たいなど、生きていくための基本的・本能的な欲求のことをいう。この欲求の次の階層で「安全欲求」を求めるようになる。これは、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい(家庭と健康)という欲求のことをいう。次の階層は「社会的欲求(帰属欲求)」(仲間を作る)を求めるように発展していく。 ここまでの欲求は、「外的に満たされたいという欲求(低次の欲求)」といわれている。
それが次の段階では、「内的な心を満たしたいという欲求(高次の欲求)」に変わる。それが第四階層と呼ばれる高次な欲求である「尊厳欲求(承認欲求)」(人の上に立ちたい)という「出世欲」のような形をとる。そして更に高次な欲求として、最後に「自己実現欲求」(自分独自の世界を持ちたい)が生まれ、それが権力欲につながっていくことになる。 欲を求めたら切りがない。どこかで禅語の「知足(足るを知る)」に気を留め、歯止めをかけるべきだろう。
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