2018.4.10 調味料(2)
調味料の2回目は味噌。私はかつて歴史のある味噌づくりの蔵を訪ねたことがある。そこで江戸時代から伝わると言われている縦横3メートル近い巨大な木の樽の中で醸造している現場を見せてもらったのだが、その樽に染み付いた麹が代々長きにわたって守られ、そこから美味しい味噌が誕生するのだと説明を受けたことを思い出す。そこで頂いた味噌は特別美味しかった。
前回醤油の起源のところでも説明したように、味噌󠄀の起源は、古代中国の大豆塩蔵食品の「醤(しょう・ひしお)」だと言われてる。醤になる前の熟成途中のものがとてもおいしかったので、これが独立し味噌󠄀という食品に発展したそうで、このことから、未だ醤にならざるもの、すなわち「未醤(みしょう)」と名付けられ、みしょう→みしょ→みそと変化したというもっともらしい由来がある。
味噌を使った料理は改めて説明の必要もないことだが、調味料と言うかそれ自体が主役である場合が多い。いい例が味噌汁で、私は毎日1回は食している。中の具は日によって違うがどれも汁を味わうという感じが強い。
それだけ親しい食品だけに、何かにつけて喩えられることが多いのも一つの特徴。例を上げると、「手前味噌」自分で自分のことをほめること。自慢。「味噌をつける」失敗して評判を落とす。面目を失う。「味噌も糞も一緒」良いものも悪いものも価値のあるものも無いものも一緒くたに扱うこと。「みそっかす」味噌っ滓。みそをこした後のかす。子供の遊び仲間にも一人前に扱ってもらえない小さい子供のことをいう。「みそっ歯」幼児の乳歯が欠けて黒色や茶色になっている状態のこと。「そこがミソ」自慢できる点や、工夫趣向を凝らして点、押さえておきたい点が味噌と同じ。
自分の記憶にある喩だけでも、こんなにあった。このこと一つをとっても、いかに味噌が古くから日本人の食文化を支えてきたかがよく分かる。
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