日常細事2018


kiji



2018.4.26 すたれる
 今回、このコラムに合わせて「すたれる」と題して、シャッター商店街の代表的な姿を描写したが、こうした社会現象は今日に始まった話ではない。その背景には色々な事情があることだろう。単純に類推してみても、後継者がいないか、不安定な経営内容なので継ぎたがらないで他の職についてしまう。建物の老朽化で廃業する。中でも最大の要因は、商店街への客離れ現象。これはスーパーや廉価な大型商業施設の進出。インターネット販売(amazonや楽天市場)の浸透。そして、旧態然とした販売方法(対面販売が悪いわけではない)による非効率化の弊害などなどが頭に浮かぶ。
 それを象徴するのが、今回のマイペインティングで描いた衰退していく商店街の姿である。それではどこの商店街もすたれていく方向にあるのだろうか。決してそうではない。私が随時紹介している商店街訪問は賑わいの絶えない街である。
 そこに共通するのは、客を引き付ける何かがある。天王町近くの松原商店街は天王様と呼ばれる「橘樹神社(たちばな)」の存在が大きい。ただ安くて新鮮な魚屋さんの存在だけではない。古くからある門前市の名残がある。同様に弘明寺商店街には「弘明寺観音」があり、横浜橋商店街には「金毘羅大鳥神社」が控えている。これらは金運を呼ぶご利益がある寺社のお蔭であろう。一方で、「六角橋商店街」は学生街で神奈川大学の道筋にある商店街で、お茶の水学生街の小型版とでも言えよう。
 こうして見てくると地域の商店街が生き抜いていくためには、そこに魅力がなければならない。街を歩くことにわくわく感をもたらす気分的な雰囲気をもたせることに魅力が生まれる。新たに生き残りを賭ける地域商店街には、今あちこちの町で行われている「町おこし運動」という知恵の結晶が結実しなければ、町は繁栄を取り戻せないだろう。
 そのためにはどうしても若い商店主たちが揃わないと、街にエネルギーを生み出すことはできないと考える。スムーズな世代交代が望まれる。


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