日常細事2018


kiji



2018.4.29 タトゥーといれずみ(刺青)
 私は野球好きで大のDena横浜ベイスターファンである。MLB(メジャーリーグ)も大谷や田中、ダルビッシュなどの日本人も多いのでよく視る。
 そこで気が付くのが、メジャーリーガーで東洋人以外の選手は殆ど腕にタトゥーを入れている。日本に来ている外国人元大リーガーも同様である。
 MLBに渡った日本人大リーガー、たとえば長く大リーグ生活を送るイチロウやそのほかの選手がタトゥーを入れたという話は聞かないし、見たことはない。当然日本本土の日本人野球選手も同じである。
 これは日本人のタトゥーに関する認識の違いにあるのかもしれない。日本ではタトゥーをいれずみ(刺青:入れ墨)といって古い歴史がある。ただ彫り物を入れる人種が極道(または任侠)の世界に住む者 に多く(一部の職人の世界も含む)。筋ものと呼ばれ特別視されている歴史がある。クリカラモノモンとか登龍、緋牡丹など芸術的でさえある。北町奉行遠山金四郎のセリフ 「この桜吹雪にまさか見覚えがねーとはいわせねー」はあまりにも有名である。これも奉行になる前の放蕩生活の名残の「あだ桜」とでも言えよう。
 それに比べタトゥーは、私の見る限り日本ほどの歴史はないようだ。古い洋画を見ても彫り物をした役者の覚えがない。
 思うにベトナム戦争がタトゥーに大きな関わりがあるようで、戦場で命を落とすことが多くなり、認識票もどこかに飛んで行ってしまい本人確認ができない時に、肉体の一部に恋人の名前を入れたり、独特な記号を入れたりしたことが広がりの始めと類推できる。
 これは日本のように精巧で緻密な「芸術的彫り物」ではなく、一種の記号とでも考えていい。それが彼らにとっての戦後、国内でも広まり、誰でも彫り物を入れるのが当たり前の世界になったようである。
 そのイージーさが日本の一部の若者にも蔓延し、若者の腕にタトゥーを見るのも珍しくなくなった。
 こうしてみるとタトゥーといれずみとではその背景が違い、伝統的いれずみが姿を消し、陳腐なタトゥーが流行るという、逆輸入の現象を見るのも時代の流れであろうか。


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