日常細事2018


kiji



2018.5.6  ヒゲ(髭)
 成人の印としてのヒゲ。5月5日は元々は端午の節句と言われ、武者人形などを飾るのを見ても、男の子の節句であった。私の記憶でも父親が床の間に 鍾馗様 の掛け軸を飾って祝ったものだ。 鍾馗様 と言えば顔を覆うヒゲが特徴である。ヒゲは男のシンボルとして昔から武士の間では、当たり前のように顔に蓄えていた。歴史館などに残る武将の絵には必ずヒゲがある。
 国の慣習によってもひげを蓄えるのが大人の象徴とされる国が多い。特に定められていなくても、これもまた野球の話になるがMLBの選手にはヒゲを生やしている選手は多く見られる。
 ヒゲは手入れが大変だから嫌う人が多い。私もその一人だが、毎日風呂で髭を剃る。そうしないと直ぐに無精ひげというやつが生えてくる。
 よく日本のサッカーの選手には顎髭を生やしている選手を見かけるが、これがどうも無精ひげに見えるから、若い日本人にヒゲは似合わないのかもしれない。
 鍾馗様は別扱いとして、ヒゲは大別して3つに分けられるようだ。それは顔の位置によって見分けられる。
 先ず顎髭であるが、これは顎にはえるもので最もスタンダードなもので生えやすいく、手入れもし易い。
 次は頬髯で、もみあげ部分から頬にかけてを覆う感じで生えている髭で、綺麗に生えそろうのに時間がかかるが、何となく男らしい野性味がある。私の記憶ではプレスリーの頬髯が印象的だった。
 最後は口髭で、お札でも有名な夏目漱石の口髭は口全体を覆うほどの立派なヒゲで今どきこんな立派なヒゲは街中では見かけない。
 口髭はさらにいろいろな生え方があり、チャップリンのようにちょっと生やしているのを「ちょび髭」と呼ぶ。大きな八の字のように両端が跳ね上がっているのを、カイゼル髭と呼び、名前の由来はドイツ皇帝から来ており、たしか明治天皇の肖像画を見るとこれに近い。矢張り日本の皇帝だけのことはある。 そこで昭和天皇はと言うと、マッカーサー元帥との記念撮影では口髭を蓄えているのが見える。大正天皇の肖像画もカイゼル髭に近い。
 今生天皇のお顔にはヒゲを見ない。昭和の混乱期に育ち、皇室の民主化に心を砕かれたその心情の表れが、ヒゲのない陛下なのだと思うと、身近さを感じさせるとともに、その心意気に好感を感じる。
 私も手入れの大変なヒゲにこだわるより、スッピンの顔で年老いていく積りである。


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