2018.10.26 しつけ(躾)と行儀作法(9)
今回は日本人の食事には欠かせないは箸の使い方について説明する。ここで記載する作法は、お茶の作法のように厳格なもので、よほどの高級料亭で、仲居さんが客の所作を見定めるのには、格好な箸の上げ下ろしの動作である。
膳の上に箸が置いてある。箸に手をかける時に一定のルールがある。箸の使い方は両手の使い方がポイントになる。このケースは、右手で箸の中央を上からつまむ。丁度虫をつまむように。次に左手で支え、右手で下から持ち替える(つまんだ形を右手を下にして箸を握る形になる)。そして、右手の親指と人差し指の間に収める(ピンセットを掴む形になる)。その時左手は下から箸の先を支えたままでいる。これが箸を手に取る一連の所作である。
箸を置くときはこの逆を行う。これは実際やってみないとピンとこないと思うが、やってみれば結構様になる。ちなみに箸先を揃えるには両手を使って持ち替える。
話を進めて、膳の上にご飯の入った茶碗がある。これを食べようとするとき、右手に持った箸はどうするかというと、箸を持ったまま両手で飯茶碗を持つのが正解である。実は私の場合、空いている左手で茶碗を持ち上げる。その方が合理的に見えるが、どうも両手を同時に使うのが基本らしく、箸は右手の親指と人差し指に挟んだままで箸先を下にして、掬うような動きで両手で持ち上げるのが正解なのだそうだ。茶碗を置くときも逆の動作で両手で扱うのが正しい所作である。食膳での物の上げ下げに両手を使うのは形の美しさを追求した結果生まれたものと考えられる。
箸の使い方には多くの禁じ手がある。代表的なものを紹介する。
握り箸…箸を逆手に握って、魚などを箸で突き割ること
探り箸…汁椀の中をかき回して中の具を取ること
迷い箸…おかずを取りかけてやめ、他のおかずを取ること
横箸…箸を横向きにして、豆などを一度にたくさん挟むこと
等々多くの禁じ手がある。どうやら箸は目的の具に一直線に進めることに鍵があるように見える。箸の使い方がこんなにも多くのルールがあるのは、箸の歴史の長さを象徴するからであろう。
以上で今回のテーマを終了する。
この記事に関するご感想などを下記メールでお寄せください。comfree@papars.net
2013年の記事を閲覧するには日常細事のアイコンをクリックしてください。
©2013 papa's_pocket. All rights reserved.