日常細事2018


kiji


2018.9.7 漢方薬と秋の七草 
 私がクリニックの内科医から処方された薬の中に漢方薬がある。
 このように西洋医学の専門医が漢方薬を処方してくれると、何か奇異に感じる。つい最近まで西洋医学と東洋医学とは対立することが多かった。国の制度を見ても漢方薬の殆どは保険の適用が認められていない。薬の成分を比較すると、科学的処方をするのが西洋医学で即効性が特徴である。これに対し、自然の成分を処方するのが漢方で持続性が特徴である。
 今回は見出しのように漢方薬それも秋の季節代表的草木を取り上げてみた。
 ここで取り上げる「秋の七草」は、観賞を目的として選ばれた秋の草花である。
 秋の七草は"七草粥"に代表される春の七草とは異なり、漢方薬として使われることが特徴である。
 万葉集で山上憶良がこう歌っている「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴朝がほの花」はぎ・おばな(すすき)・くず・なでしこ・おみなえし・ふじばかま・あさがお(ききょう)の七種類である。
 この七草が昔から漢方薬としても利用されてきたことはあまり知られていない。
 現在でも使われているかは実は不明であるが、次のような薬効があると言われている。
はぎ;根の部分が咳止め、去痰、胃の痛みや下痢などに用いられる。すすき;根茎を利尿薬として用いる。くず;根は風邪薬で有名な葛根湯(かっこんとう)として利用。風邪のほか肩こりや神経痛などにも。なでしこ;全草、種を利用。むくみや高血圧に。おみなえし;根に消炎、排膿作用がある。ふじばかま;全草利用。糖尿病、体のかゆみ。ききょう;根は咳止め、去痰薬、のどの痛みに」とある。
 七草すべてにこんな薬効があるとはちょっと驚きだ。
 ついこの間のテレビで薬の副作用というのを特集していた。それによれば、高齢者の多くが複数の薬の世話になっている。多い人は10種類を超えるという(私もその一人)。そこで心配されるのが、薬の副作用で、それが原因で入院する人がいるとも報じていた。
 これは自己責任の範囲だが、薬手帳を一つにまとめないで、かかっている医者ごとに提示することで副作用が起きるのだそうだ。一冊に纏めてあれば、どんなに多くの薬が処方されていても、薬剤師が適切な判断をして、調剤してくれるので、副作用の心配はない。
 最初に述べたように、西洋医学の特徴は対症療法である。これに対し東洋医学(漢方)は即効性は無いが「身体が本来持っている自然治癒力を引き出し、症状を改善する医学だ。検査をしても原因がはっきりしないが、体調不良や症状が続く場合などには、漢方薬の効果が期待できる(biz-journal)」と効果が出るのに時間がかかる。
 よく昔から「医者の薬も匙加減」といわれるように、専門医に相談して上手に漢方薬を使うのも効果のある処方であるといえよう。

 
 



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