日常細事2018


kiji



2019.2.17 春一番

「雪が溶けて川になって流れて行きます つくしの子がはずかしげに顔を出します もうすぐ春ですね ちょっと気取ってみませんか」これはキャンディーズ『 春一番』で当時大ヒットした歌の出だしの歌詞である。
 私もこの寒暖の激しい冬の終わりを告げる『 春一番』が吹くのを秘かに待っている一人である。
 ところでこの『 春一番』という呼び名のルーツとどういう気象現象をどう定義づけるのだろうかと少し探ってみた、
 この呼称はある地域では古くから使われていたが、それを世に知らしめたのは足で実査することで有名な偉大な民俗学者「宮本常一」によって紹介されたのがきっかけである。彼は研究のため郷ノ浦町を訪れてこの「春一番」をいう語を採集し、1959年に壱岐で用いられている語として『俳句歳時記』で紹介している。この郷ノ浦町での取材で「長崎県郷ノ浦町では安政6(1859)年2月13日(新暦 3月17日)に長崎県五島沖に出漁した漁師 53人全員が,春の強い突風で遭難した。これ以後,郷ノ浦の元居地区では,春の初めの強い南風を「春一」または「春一番」と呼ぶようになったといわれている」と「悲しい歴史」を報じたことによる。
 一般に広く普及したのは 1960年代前半で,1963年からは一般新聞紙面の天気図欄に掲載されるようになって定着していった。
 気象庁では次のように『 春一番』を定義付けている。
「(1) 立春から春分までの間であること,(2) 日本海に低気圧があること,(3) 強い南寄りの風(風向は東南東から西南西まで,風速 8m/s以上)が吹くこと,(4) 気温が上昇すること,である」としている。
 今は2月の中旬であるので、まだ天気予報では3月にも雪が降りそうだと言っているくらいだから、『 春一番』はまだ先のお天気になりそうだ。
 とは言っても、外を歩けば梅は満開だし、桃の花も蕾を膨らましている。真赤な椿も目を引くようになり、自然界は春の訪れを確かに告げている。



この記事に関するご感想などを下記メールでお寄せください。comfree@papars.net
2013年の記事を閲覧するには日常細事のアイコンをクリックしてください。
©2013 papa's_pocket. All rights reserved.