日常細事2018


kiji



2019.3.14 高座6 
ディール

 最近妙に個性が強い、もっと言えば横暴な国の指導者が現れて世の中を引っ掻き回しているようで御座います。
 一つ例をあげげますと、日程も場所も決まり、シャンシャンと手打ちできる会談だったかに誰もが見ていたものが、首脳会談につきものの合意文書作成の直前に、お互いガチンコの勝負を始めて、結果話は決裂。気の短い何をするか分からない大統領がちゃぶ台返しをして、さっさと国に帰ってしまいました。
 首脳会談というものはトランプでいえば「神経衰弱」のような方法で、閣僚クラスがそれぞれ合意したカードを順番に積み重ねていくゲームでありまして、最後の方に僅かに残されたカードを引き合うまでに煮詰めておいた上で、首脳は会談に臨むわけですから、双方が形ばかりのゲームをして「めでたしめでたし」と収まる筈なんですが、実際には基礎的な外交交渉が固まらない内に両者をぶつけてしまったと言うのが本当の所であったようで御座います。
 そうなりますと冒頭お話ししたように、経験の浅い若い方の暴君と一方の負けず嫌いなわがままな大統領とのガチンコ対決になってしまいました。結果は先刻ご承知のように、気の短い大統領がちゃぶ台返しという思いもよらない行動に出たわけで御座います。交渉事は双方が痛み分けをするところに成り立つもので、わがままを通してはいけません。
 かの大統領は元々不動産屋ですから、政治も商いの取引と同じだと考えている節が見えます。自らも外交はディールと言ってはばからず、これはカジノの ディーラーがカードを配ることで、親と子が取引をするゲームからきている言葉で御座います。
 今どき国境に壁を作るといった、秦の始皇帝にも似たことをやらかす御仁ですから、自分の腹の中で決めたことは必ずやり遂げないと気が済みません。外交はパワーゲームだと信じ込んでおりますから、自分の分が悪ければゲームをおじゃんにすることなど朝飯前の話なのかもしれません。
 このゲームいろんな面で衆人環視の中にありますから、これから先どう落ち着きますやら、世界一の大国と世界一の最貧国がガプリ四つというのも変な話で御座いますが、世の中変なことが横行する時代に入ったと言うお粗末な一席で御座いました。


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