2019.3.18 高座7
根回し(ロビー活動)
前回のお話でも少し触れた、外交には下打ち合わせが不可欠だということ、これを一般的には根回しと申します。今回はこの聞きなれた行いをお題といたしましょう。
交渉事の根回しは国の政治から小企業の契約に至るまで幅広く行われているもので御座います。多分ロビー活動という言葉を聞いた覚えがあると存じますが、これなどは諸外国では当たり前に行われている根回しの場でありまして、何故ロビー活動というのか、その出所を探って見ますと、アメリカの18代大統領(1869年~1877年)に遡ります。とてもヘビースモーカーの大統領でありましたが、ホワイトハウスでの喫煙を妻に禁止されておりまして、そこで付近に存在するウィラード・ホテルのロビーで葉巻を楽しんでいたということです。彼がしばしばこの場所に出没することを知った関係者は、ニコチンの助けを借りて上機嫌な大統領への陳情をこのロビーで行うようになったという。これがロビー活動の語源だと言われます。
このような次第で、その実態は政治活動に限定され、なおかつロビーイストとして登録されている必要があるそうで、企業はその人たちを雇って政府に働きかけて、場合によっては献金もいたします。魚心あれば水心で汚職に発展するような際どい活動が行われているので御座います。
そうしたことから日本ではイメージがよろしくないようで表立っては行われておりません。そのことが諸外国との交渉事で後れを取っていると言われております。
一方、根回しと申しますと、元は「樹木の植え替え後の活着を容易にするため,1~2年前に行なう細根の発生を促す処置をさす園芸用語」からくるとありまして、それが事を行う前に、関係者に意図・事情などを説明し、ある程度までの了解を得ておくことの意味合いに転じたわけで御座います。従ってロビー活動と同じで御座います。ただその役割を果たすのはロビーイストのように公認されたプロとは違います。
日本では政府の役人がその任についております。よく「お役所仕事」と陰口が囁かれるように柔軟性がなく、根回しをするには向いておらず、勝つ勝負に負けてしまうことも多々御座います。
グローバルな活動が広がる中、日本でも、特に日米間での交渉事にはロビーイストのようなプロを養成しておく必要があるという声も聞こえてまいります。次回の高座はガラッと変えて「オープン戦今年も野球漬け」を語らせて頂きます。
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