日常細事2018


kiji



2019.3.26 桜前線
 今回から高座をおりて従来の文体で表示していくことにする。
 外の桜が少し花開いた。見頃は来週末あたりか。桜前線とはソメイヨシノが南の方から徐々に北上することという。日本気象協会の開花予想によると「全国的に平年より早い予想で平年より2日から9日ほど早く開花するところが多くなる見込。この冬は、観測史上最高気温を更新した地域があったように、気温が平年よりもかなり高くなった。こうした影響もあり、全国的に桜の開花が早くなると予想される」としている。
 横浜では21日に最初の開花が見られた。この現象を桜の休眠明けと呼ぶようだ。これを詳しく説明すると(以下wikipediaによる)「桜は夏頃に翌春咲く花のもととなる花芽を形成し、休眠に入る。花芽は冬の低温に一定期間さらされると休眠から覚める(休眠打破)。花芽は休眠打破のあと温度の上昇とともに生長し開花する。桜(ソメイヨシノ)の開花から満開(80%以上が咲いた状態)までの日数は、九州から東海・関東地方では約7日北陸・東北地方では約5日、北海道地方では約4日で北上するほど短くなる。 桜の開花期間は、満開から一週間程度で花が散る」のだそうである。
 日本で桜の開花が大きな関心事になっているのには訳がある。桜は穀物の神が宿るとも稲作神事に関連していたともされ、農業にとり昔から非常に大切なものであった。また、桜の開花は、他の自然現象と並び、農業開始の指標とされたからである。
 今でこそ「花」と言えばサクラ(桜)が連想されるが、奈良時代には和歌に出てくる花と言えばウメ(梅)であった。
 万葉集においては梅の歌118首に対し桜の歌は44首に過ぎなかった。
 平安時代初期に編纂された古今和歌集仮名序にある、平安時代の歌人である紀友則の歌「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花ぞ散るらむ」の「花」は桜である。
 このように平安時代には多くの歌人が桜をモチーフにした歌を残しているが、かの有名な西行法師は「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ」の歌は有名である。西行はこの歌に詠んだ通り、旧暦二月十六日に入寂したとされる。
 私が紹介した北斎の絵でも、20品川御殿山ノ不二 52隅田の不二 「雪月花」吉野(花)と富士を背景とした桜の絵を紹介しているが、大体が川沿いに植えられている。これは桜が江戸時代には河川の整備に伴って、護岸と美観の維持のために植えられたことを物語っている。今の時代でも桜並木が川沿いに多いのはその名残である。
 私も足の状態さえよければ、満開の桜を見物したいのだが、どうなることやら。


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