日常細事2018


kiji



2019.5.11 耳の生理学的考察(7)
 耳の働きであるが主に外界の情報を収集することにある。それは音として認識される。言葉であったり、音楽や車や機械の音を上げることができる。
 そうした情報を聞き分ける豊かな耳を持った人がいる。厩戸皇子(うまやどのおうじ:聖徳太子)が人々の請願を聞く機会がその数は10人にも上ったが、皇子は全ての人が発した言葉を漏らさず理解し、的確な答えを返したというエピソードがある。これは史実でも、日本書紀推古紀に「一聞十人訴,以勿失能辨」とあり,同時に10人 の訴えを聞き分けて裁いたという記述が残っている。
 最近のAI技術の発展は凄まじいものがありApple社が音声アシスタント「Siri」に声の聞き分け機能を持たせようとして出願した特許資料によると、Siriが今後、複数の人物を聞き分けて、人によって違った反応を返すようになるかもしれない。今回の特許は「音声入力処理のためのユーザープロファイリング」と題されている。
 ここで耳がどのような働きをしているのか見方を変えて成句などを上げて具体的表現で示すとこうなる。
 誰でもよく耳にするものを並べると「耳が肥えている」「耳が痛い」「耳が早い」「耳に障る」「耳に残る」「耳に入る」「耳を立てる」「耳を疑う」などは説明を要しないだろう。
 このほか諺・成句などを紹介すると「馬の耳に念仏」「馬耳東風」「壁に耳あり」「寝耳に水」などは誰でも知っている。ちょっと珍しいものとしては「耳を掩おおいて鈴を盗む」というのがあり、これは「音がして他人に知れるのを恐れて、自分の耳をふさいで鈴を盗む。策を弄して自らを欺いても益のないこと」という諺。 
 ここでちょっと方向変換して、よく「あっちっち」と言って耳たぶを掴むという慣わしを知っているだろうか。これには根拠があって、耳たぶが体の中で一番冷えているからで体全体よりもなんと約8℃くらい温度が低いと言われている。人は本能的にそのことを知っていて、熱いものを触った時にはとっさに耳たぶをつまんでしまう動作に出てしまう。
 もうそろそろ耳に胼胝(たこ)ができたころだろうから、まだ耳にまつわる言葉は一杯あるが、今回はこの辺でお開きとしよう。次回の生理学的考察は「鼻」。


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