2019.5.14 鼻の生理学的考察(8)
私の鼻は遺伝的要素が強いらしく親父の鼻に似ているという。と言うことで今回は鼻について考察する。
鼻は顔の中央に突き出てデンと胡坐(あぐら)をかき目立つ存在である。鼻腔は2つあり息をするのと発声に重要な役割を果たす。口と鼻はつながっており、口で息することもできるが、余計なものを吸い込まぬためにも鼻呼吸の方が良い。鼻は同時に目や耳にもつながっている。その証拠に涙を流すと鼻も同時に出るのはだれでも経験済みだろう。鼻をかむと耳にツーンと響くことがある。これは鼻と耳がつながっている証である。
では鼻に関する表現(成句)からその働きを調べる(ベネッセ表現読解国語辞典)。
「鼻が利く」という言葉がある。これは(1)嗅覚が鋭くよく臭いを嗅ぎ分ける。(2)巧みに利益になる話を見つけ出す。これは警察犬の鼻が犯人を見つけるのとは違い、儲け話を見つけ出す機能とでも言おうか。
「鼻に付く」飽きて嫌になる。また、言動が嫌味に感じられる。わざとらしさが鼻に付くというなどの表現をする。
「鼻を突き合わせて」これなどは交渉事などで人が極めて近くに寄り合う様を言う。
「鼻を撮(つ)まれても分からない」真っ暗闇で何も見えない。鼻を撮まむ人はどうやって人の鼻を探り当てたのか疑問が残る。
「鼻で笑う」相手を見下したように冷やかに笑う。冷ややかな笑いとは「氷の微笑」のようで何かゾッとするものがある。
「鼻を鳴らす」鼻にかかった声を出して甘える。犬みたいである。
「鼻が高い」得意になる。誇りに思う。有名人と同じクラスで「鼻が高い」などという使い方。
「鼻を明かす」思いがけないことをしたり、出し抜いたりして、人をアッと言わせる。人との競争などに勝った時にこういう表現をする。
このように鼻に関する成句は非常に多い。それだけ鼻の形や働きが目立つから、このように重宝な使い方ができるのだろう。「目から鼻に抜ける」と言うように顔の他の器官と食い合わせた成句もある。これは「りこうで機転がきく。また、抜け目がない」という意味で使われる。しかし「口から鼻に抜ける」という事例は多くある(特に気管を詰まらせると鼻に出る)が成句は見当たらない。
また耳と鼻と口は密接な関係にあり「耳鼻咽喉科」というように一緒に纏められている。「眼科」だけが独立しているのもきっと特別な因果関係があるのだろう。
このシリーズでは顔を中心にそれぞれの器官の構造や働きについて考察してみた。
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