日常細事2018


kiji

2019.11.18 東北地方岩手県(お国柄8) 

 北海道に次いで広大な面積を誇る岩手県。岩手県の総面積は約15,000平方kmで、これは東京+神奈川+千葉+埼玉を合わせても足りない大きさだ。それだけに県民性にも地域差が出やすいと言える。郷土の偉大なる詩人宮沢賢治が「雨にも負けず、風にも負けず」と詠ったように、県土は気候も厳しく豪雪地帯で土地はやせているので、昔から岩手の人々は辛抱強く、どんな苦境にも耐え忍ぶといったタイプが多く、反面頑固で寡黙、かつ消極的などといわれる。
 他にも口下手だけどセールス上手。感情表現が地味なので、何を考えているのかわかりにくい。積極性に欠けるが、他人の干渉を嫌う。といったマイナス面が目立つ評価がなされている。
 地元産品として有名な「わんこそば」はおとなしくて「おかわり」が言えない県民のために生まれたといわれるほどの口下手なのだそうだ。
 その一方で「腰は重いが一旦決めると強い」一面がある。これは古い話に「明治元年時の政府軍(官軍)が旧幕藩勢力を一掃すべく東上し、北越や東北の諸藩と激突した。諸藩は「奥羽越列藩同盟」を結んで奮戦した。しかし『衆寡敵せず』の喩のごとく新政府軍の勝利に終わる。この時最後まで戦ったのは盛岡城を本拠とした南部藩だった。実際は南部藩の参戦は遅かった。それは戦況をうかがっていて中立を維持していたためで、同盟軍の勢いがいいので『ここらで参戦しねえと、まずいんでねえか』と重い腰を上げたという経緯がある。ところがこの判断は誤りで、最後は降伏することになってしまった」にも表れている。
 また「思慮深さは牛のごとし」とも評される面がある。これは岩手県人は簡単に泣き言をいわないということで、長い歴史の中で、飢饉や凶作に見舞われたことが深く関わっている。切れ目なく襲ってくる大飢饉に見舞われた江戸時代には多くの犠牲者が出ており、そんな極限の中を生き抜いた県民には「我慢強さ」が際立った。岩手の農村評論家大牟羅良(おおむらりょう)は「ものいわぬ農民」の中で、不平不満が沢山あっても口に出さない、岩手の農民の特徴を言い表している。詩人高村光太郎も「岩手の人」という詩の中で「岩手の人 沈深(ちんしん)牛のごとし」と岩手県人の口下手を取り上げている。 口下手だから商売も政治も苦手なのかというと、何と総理大臣を4人も輩出している。これは山口県8人、東京都5人に次ぐ第3位という銅メダル級で、岩手県の「努力家」「野心家」と言う一面が垣間見える。 続く。

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