日常細事2018


kiji

2019.11.7 北海道(お国柄5)
 今回のお国柄は北の国北海道。「でっかいどう」と言われるほど広くもはや国レベルに大きい地域について探ってみた。最近話題が東京オリンピックのマラソン会場に札幌が指定されたことで、連日テレビの話題となっている場所である。前回地域区分した時に、北海道を道北、道東、道央、道南の4分類するケースもあり、札幌は道央に位置する。今や名実ともに北海道の中核をなす都市として日本中から多くの人が訪れる場所だ。
 その北海道だが 知床の方に行くと、最果ての地に来たという感じがする。この大地は江戸時代には多くのアイヌが住んでいた。アイヌは文字を持たなかったので口承で歴史が伝承された。 口承文芸としてユーカラ(叙事詩)やウエペケレ(散文の昔話)があり、 金田一京助先生が長大なユーカラ研究を発表してその痕跡を後世に伝えている。アイヌ民族は狩猟を生業としていたから、その行動範囲は広く北海道のみならず東北地方や旧北方領土や樺太にまで及んでいた。アイヌの気質が今の北海道民に引き継がれていないのは、次に記すように明治以降内地からやってきた開拓民(農・牧畜・漁業・林業)が北海道を自らの地元に変えたことにより、少数民族化してしまったことによると思われる。
 その地に明治政府は屯田兵として兵士集団が送り込み、開拓民として今の北海道人の基礎を築いた。先祖伝来の地を捨ててやってきた人たちは、故郷の習慣やことばを捨て極寒の大地に新しいものを取り入れた。ハッカ、ジャガイモの裁培から山林を伐採して製紙、石炭を利用した製鉄所が開かれるなど、各地から集まった人たちが開拓し、こうしてフロンティアスピリットを受け継いだ北海道人の性格ができ上がった。 
 日本国中から集まった集団であるため、言語は東京弁より正確な標準語を話す。そこにも形式にこだわらない実直さがよく表れている。
 一般的に北海道の人は大らかで、形式ににこだわらず、粘り強く、実直で、素朴だという。こういうところから判断すると、広大な大地と開拓者精神そして厳しい冬がこのような気質を形成していったのだろう。
 一つ付け加えると、北海道の漁業といえばニシン漁である。明治まで主食はジャガイモとニシンだったという。今はほとんど獲れなくなったが、かつてある僧侶が「ニシンは松前のコメなり」といって仏前に米の代わりにニシンを備えたという話が残っている。こういう柔軟な思想は北海道人の特色となり「古い因習や形式にこだわらない」道民性を築いていったのであろう。 続く。


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