2019.7.31 暑さ対策(1)
7月29日にやっと関東甲信の梅雨明け宣言が出て、連日外は熱暑に見舞われている。夏の暑さはこれからで、今も昔も人々はこの暑さに対して色々工夫して凌いできた。今回はこうした伝統的な日本の暑さ対策に着目してみる。
連日熱中症対策を報道では呼びかける中、これを書いている部屋はエアコンがきいて涼しい。気温が下がれば扇風機もある。昔はそんなものはなかった。では、昔の人はどんな知恵を出してこの暑い夏を乗り切ったのだろう。
私が子どもの頃はよく打ち水をする光景を見かけたし、私も手伝った記憶がある。この打ち水はどんな効果があるのかというと「打ち水によって地面に水が撒かれると気化熱によって水は地面の熱を奪いながら蒸発する。すると、水が撒かれた周りの温度が下がって涼しく感じられるようになる。打ち水は気温が上がり始める朝か、日が落ちて気温が下がり始める夕方に行なうようにすると効果的に涼しく感じられるようになる。これは比較的気温が低い時間帯に水を撒くことで、ゆっくり水が蒸発して効果が長持ちする」ということになる。
伝統的日本家屋は夏の強い日差しを受けないように、部屋の外廻りに縁側をもうけ、屋根のひさしはとても長く造られていた。 私の生家も借家ではあったがそのような構造で、どこの家も大体そういう造りだったように記憶している。
家全体を見ても、部屋と部屋の間仕切りは壁でなく襖(ふすま)で隔たれているため、この襖を全て開ければ部屋がつながって風通しが良くなるという工夫がみられた。廊下と座敷との間は障子で仕切られていて夏は開け放って外の風を取り込んでいた。子どもの頃はそうして広くなっていた家の中を走り回って、よく叱られたものだ。
更に直射日光を避けるためにすだれ(簾)やよしず(葦簀)が欠かせない季節道具であった。この二つの違いをネットで調べてみると「吊るす簾と、立てかける葦簀と、どちらも、見た目に涼やかなだけでなく、遮光をしながら、隙間から涼風を取り込んでくれる。簾は、細く割った竹やアシという植物(ヨシとも呼ばれる)で作られているものが多く、部屋の中でも外でも吊るせる」とある。
よしず過ぎ 几帳も過ぎて 風通る 山口誓子
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