2019.8.10 祭りと縁日(2)
縁日に出店する露店の仕組みを探る前に、店に並べられるアイテムを上げてみる(河出書房新社刊「懐かしの縁日図鑑」から)。
まず頭に浮かぶのが「綿菓子」や「金魚すくい」であるが、最初に食べるものから紹介していこう。
「綿菓子」は真っ白でふわふわして雲のような甘い菓子であるが、材料はザラメと割箸だけというシンプルなもので、ただ買うだけでなく夜店で綿菓子を作るところを眺めるのも楽しい。参考までにこの綿菓子、熟練者が作ると丸2日はふんわりしたままビニール袋の中で漂っているという話だ。
次は色とりどりに鮮やかな「あんず飴」を上げる。氷の上に並べた幾つものあんず飴の中からどれを選ぶかは子どもたちの思案のしどころである。定番はやはりスモモの甘酢漬けで、真赤に着色されていて、食にうるさい母親はダメ出しするところだが、ここは一番大目に見てあげよう。
次に上げるのは「カルメ焼き」。これなどは家庭でもおやつに作った覚えがある。これも原料はザラメである。プーと丸く膨らますのにはコツがあるようで、素人が作ると中の空気が抜けてしまうことが多く、それなりの技が必要である。そうした経験をもつお年寄りに人気のある「軽目焼き(とも書く)」ではある。
続いて食べてしまう(舐める)のが惜しいのが「あめ細工」で、動物の姿を注文に応じて、その場で鮮やかな手つきで作ってくれる。うさぎ、馬、りす、鳥が数分で姿を現す。これは大変な技で大道芸の域に達している。
以上幾つかピックアップして紹介したが、いずれも砂糖が主役の縁日ならではのお菓子である。
次は「お遊び屋台」へと話を進める。私の年代ではほとんどが経験したであろう縁日の遊び屋台に「射的」がある。鉄砲を腕一杯に伸ばしてコルクの球を景品めがけて打ちこんで、うまく射ち落とせば景品が手に入るというゲームである。ほとんどが外れでムキになって小遣いを全部使い果たすという仕組みになっている。どこか大人になって夢中になって財布を空にしたパチンコを思わせる射幸性のある出店である。
何と言っても屋台の目玉は「金魚すくい」であろう。これは夏の夜店には欠かせない風物詩である。これもコツがあってすくい網の紙が破けるまで金魚を掬い続けることができる。小さい金魚をうまく掬えばビニール袋に入れて持ち帰ることができる。家で金魚鉢に入れ替えて育てることになる。水道水に金魚を直に入れるとカルキが入っていて死んでしまうこともあって、悲しい思いをすることもある。こうしたことは生き物の育て方を学ぶ一歩にもなる。次号に続く。
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