日常細事2018


kiji

2019.9.13 涼風の候
 2、3日前の暑さが嘘のように、今は涼しい風が部屋の中を拭き抜けている。外は青空だが心持ち光が柔らく感じられる。暦の上では二十四節気七十二候のうち白露(はくろ)から鶺鴒鳴(せきれい なく)あたりの時期である。このHPの「時の風物詩」でも簡単に紹介している。
 白露(43候)は、夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が宿り始める頃のことで、見た目にも涼やかな秋の気配を感じる。次候の鶺鴒鳴(44候)のセキレイはたまに見かけるが、雀や烏ほどメジャーな街中の鳥ではない。これもHPの「八百万の神」で紹介している神々の多くはイザナギ、イザナミの営みの産物であるのが非常に多いのはよく知られている。
 このセキレイはこの二つの神に深い関わりがある。一説によると、その夫婦生活を指導したのがセグロセキレイで、何で小鳥がそんなことをしたかと言うと、セキレイには異名として恋教鳥という不思議な名前がついている。これは日本書紀のイザナギとイザナミの国生み神話の話の中で、鶺鴒が飛んできて二神に子供の作り方を教えたと言う説がその元になっている。
 暑さも去り涼しさが一段と深まると何と言っても「食欲の秋」である。その筆頭に上げられるのが「さんま(秋刀魚)」である。今年は不漁で店にそう多くは出回らず、値段も高く 今や高級魚の部類に入るのではないかと思うくらいだ。つい最近までは秋の食卓を飾る大衆魚で、小骨が多く私は苦手だったが人気が高い。「目黒のさんま」ではないが、話題にも事欠かない魚である。佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」の書き抜きに「あはれ秋風よ情〔こころ〕あらば伝へてよ--。男ありて今日の夕餉〔ゆふげ〕にひとりさんまを食〔くら〕ひて思ひにふける。(中略)さんま、さんまさんま苦いか塩つぱいか。そが上に熱き涙をしたたらせてさんまを食ふはいづこの里のならひぞや(以下略)」この詩はあまりに有名で高校生の頃に初めて読んだ。その頃の方が実感が伝わったものだ。
 いずれにせよ食欲の秋。私は「秋刀魚」より「ハンバーグ」の方が好きだ。



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