日常細事2020


kiji


2020.12.26 今年の言葉「密」
 今月中旬清水寺で行われた「今年の言葉」の大書は「密」であった。私もコロナ関連で「疫」を予想したが、これはぎりぎり10位であった。このことは流行語大賞の「3密」と一致している。
 今回は年末特別バージョンで、「原文解説補完」は一時休止として、今年一年日本中を蹂躙している「コロナ禍」と「密」について書き残して置くことにした。
 なぜこのコロナ禍(covit19)が人々に恐怖を与え、疾病に対応する政府関連部局、患者を受け入れる医療従事者を混乱のるつぼ(坩堝)に押し込めたのだろうか。
 インフルエンザの変異と言われる新型コロナウィルスの正体が影のように人々を襲い、アメリカなどでは30万人以上の死者を出しているという実態が恐怖の源泉になっている。
 外出しないことが唯一の予防法なのだとされるから、これは実現不可能な要求である。生活の根底に関わる社会行動が否定されるからだ。この疾病は罹患すると高齢者が重症化し、若者は無症状ないしは軽傷であれば14日の隔離生活で済むというのが特徴である。
 無症状の保菌者が宿主となってウィルスを拡散していることも恐怖を生む。見えざる敵と戦う剣はあるのか。ようやくワクチンの接種が始まり、治験の結果がすぐ見られる。もし効果があると分かれば、一斉に接種が世界中で行われるだろう。
 日本はかなりの数のワクチンを確保しているようだから、オリンピックの始まる頃には終息を見るだろう。そうすれば経済も右肩上がりで上昇し、万々歳というストーリーが出来上がる。こうした1年半にわたる足跡が歴史に残されることになる。これは祈りにも似たサクセスストーリーで実態は別の顔をもって収束を阻むかも知れない。
 さて、言葉「密」であるが、私の場合この言葉でまず頭に浮かぶのは「秘密」であって「密閉・密集・密接」の3密ではない。そこでデジタル大辞泉で「密」という言葉の使われ方を調べると、次のように2分類されている。
1 閉ざされて内部がわからない。人に知られない。ひそか。「密会・密教・密航・密告・密使・密室・密約・密輸/隠密(おんみつ)・機密・枢密・内密・秘密」(ここに秘密が記載されている)。
2 隙間がない。ぴったりとくっついている。関係が深い。「密集・密生・密着・密度・密閉・密林/過密・気密・緊密・親密・稠密(ちゅうみつ)」と例示している。(密室は1の分類にある)
 こうして見てくると、「密」がこれほど耳目を集めたことは、過去にないほどで世の名の「日常」を覆してしまった今回の疾病は、唖然として見ているしかない程の「非日常」の出来事である。
 

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