日常細事2021pre


kiji

2012.2.27 不細工
 最近レプリカの時計を集めているが、スチールベルトは私の腕には大き過ぎる。普通は時計屋で調整してもらうが、1,000円ほどかかるので、本体より高くつくことになる。
 そこで自分で調整しようと思い立って、まずは修理工具一式を買い求めた。いざバンドの調整に取りかかったのだが。これが思うほど簡単ではなく、マニュアル通りにはいかない。根が不器用なせいもあり、ピン外し器にバンド(上下がある)をセットしネジをグルっと回しつなぎ目のピンを押し出そうと試みた。ところが思い切り捻ったらピン外し器のピンが折れてしまった。どうやら的外れなところを押し込んでいたようで、折れたけれど(初心者は失敗するのだろう)スペアがついていたので、差し替えて時計バンドのピンに垂直に当てて少しづつ押し込んでいくと、反対側にピンが頭を出してきた。あとはペンチで回しながら引き抜くことができた。事前に見たYouTubeでは、いとも簡単にこなしていたので、「あれっ!」と思った瞬間だった。
 こうしてコマを両側2個づつ外し腕に合うように調整した。それから元に戻すのが一苦労で、抜く時とは逆側からピンを挿入しないといけない。ピンの穴が狭くてそう簡単には通してくれない。小道具の中にバンド固定台というのがあり、そこにベルトを垂直に差し込み上からこれも小道具の専用トンカチでゆっくりと叩く。入口は固く暫く叩くと中間部分は穴が大き目の筒状になっているのですっと通る。ところが出口の穴がこれまたきつく中々入れてくれない。受け側の穴にピタッと合わせないと先に進めない。そこでヘッドルーペでねらい目の場所をよく確認して、これまた必須の小道具バネ棒外しと呼ぶねじ回しに似た道具で、片方がY字型になっているのを使い、強引にねらい目に合わせて上から叩く、これを繰り返しバネ棒が出口に到達すれば、時計バンドの長さ調節が完了する。
 何やかやで一つの腕時計の調節に一日費やすことになってしまった。時計屋はいとも簡単に2、3分で済ませるのはやはり商売だからで、カメラ屋などで腕時計の電池交換しますというところでも、バンドの調整はやっていなかった。これは職人の技次第でとても割りが合わぬと知っていたからだろう。続く




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