日常細事2021pre


kiji

2021.5.9 有り合わせ
 我が家の昼食のメニューと言えば、私専用の力粥(ちからがゆ:餅が入っているから)、そば、チャーハン、焼きそば、ホットドッグなどかなり豊富だが、共通しているのはその具である。
 これは冷蔵庫にある有り合わせたものをメニューに合わせて調理する。冷蔵庫のスペースは計画的に1週間ごとに購入した食材で埋め尽くされている状態となる。主に日々の夕食のオカズ(御数、御菜)として調理されていく。その時に残るものがどうしても生ずる。それが有り合わせの具となり、冷蔵庫が順次整理されることに繋がる。
 このように冷蔵庫の中身は、調理者であるカミさんしか知りえないものが殆どであり、余人をもって代えられない。
 例えば私が「有り合わせ」で何か調理しようと試みたところで、具となるべき素材のありか(在処)が分かるはずもない。よしんばそれをカミさんに聞いて行おうとしても、人にやらすより、自分でやった方が早いので「そんな真似はしないでくれ」と断られることは必定だ。
 ずいぶん前の話だが、同級生が退職後に一念発起して「料理教室」に通い「男の料理」を披露することになった。彼の頭の中には教室で教わったレシピしかなく、冷蔵庫の中身など分からない。そこで、具材をすべてスーパーに行って買い揃えてからレシピ通りに調理したそうだ。
 その結果旨い不味いは別として彼のカミさんからきつい指摘をされたという「あなたは料理する度に材料を新たにスーパーで買ってくる。こんな料理の作り方では家の家計簿は直ぐに干上がってしまい、冷蔵庫は残り物が野放図に放り込まれているので、整理がつかず大変困る。気持ちだけ頂いてこれまでにして頂戴」と宣告されたそうだ。
 だから私がもしそんな真似をしたら、カミさんの領域を荒らしたことになり、逆鱗に触れること間違いなし。
 台所はカミさんの聖域なのだから、私は踏み入らない。「では食事の後の皿洗いなど手伝いしたらご機嫌を取れるではないか」と思われる向きがいるだろう。ところがそんなものでは通らない。洗い方にも一流と二流があり、私はもちろん二流だから、一度は試みたが、結果二流の仕事を一流がやり直すという二重手間がかかることになり、これもダメ出しされた。
 男子厨房に入らず(だんしちゅうぼうにいらず)。黙って出されたものを綺麗に平らげよう。


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