2022.4.26 諺集に見るわが人生(79)
今回は諺集(新明解故事ことわざ辞典:三省堂)「あ行」の「お」から始めて、回顧していくことにする。また諺からイメージできるものについても記述する(「」の前後の句読点は省略)。
「重きを負い遠きを渉(わた)る時は地を択(えら)ばずして休(いこ)う」苦しい時は、えり好みをしないことのたとえ。重い荷物を背負って遠方まで行かねばならないというときには、休める場所があればどんなところででも休もうとすることから。
由来は「孔子家語」致思篇の美しくかつ名高い次の逸話を踏まえたもので「ある日孔子と何人かの弟子たちがくつろいでいたとき、子路が孔子に向かって言うた。「先生、わたしはこう聞いております。負重渉遠、不択地而休」と。
現代は一家に一台車がある社会だから、重いものは車で運ぶから実感がないが、子どもの頃、駅止めの荷物をリヤカーで運んだことがある。荷物は20キロ余りあり、子どもの力ではリヤカーとは言え結構な体力を使うもので、家に差し掛かる手前の坂道はさすがにきつく、一休みしてからやっと家に運び込んだ覚えがある。小学校5年生の頃で。子どもでもこんな仕事を命じられたものだ。
「表木綿の裏甲斐絹(うらかいき)」甲斐絹は、山梨で作られる平織りの絹布のこと。木綿の表地でできた着物の裏地に甲斐絹を使って、うわべを地味にして眼に見えないところは贅沢をする、というたとえとして言われている。甲斐絹が例に出されているが、実際には江戸つ子の好みを表したことばとされている。
これは女房から聞いた話だが、近所に働き者の婆さんがいて、朝から晩まで貧しい着物姿で仕事に精出していたそうだ。見た目は貧乏そうに見えるが、裏話として、この婆さん実は高島屋(高いが本物「ブランド」を売る店で知られる)の上客で金に糸目をつけないことで知られていたそうな。これは想像だが、こうして買い入れたブランド品に囲まれた寝所で、これまた絹織物の布団に包まり極上の夢を見て、明日のエネルギーを蓄えていたことだろう。
私には縁遠い話でコピペ(「コピー&ペースト」の略)に明け暮れ、いつか本物とはどんなものかさえ見分けがつかなくなった。浜っ子は見栄っ張りのお粗末。
次回に続く。
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