日常細事2022pre


kiji


2022.8.9 諺集に見るわが人生(110)
 今回は諺集(新明解故事ことわざ辞典:三省堂)「か行」の「か」から始めて、回顧していくことにする。また諺からイメージできるものについても記述する(「」の前後の句読点は省略)。
 「彼も人なり我も人なり」同じ人間なのだから、他人にできて自分にできないことなどない、ということ。自分の奮起をうながす場合や、自分の権利を主張する場合などに用いることば。由来は八~九世紀、唐王朝の時代の文人、韓愈の文章の一節から。昔の人は、舜という聖人の話を聞くと、「彼も人なり、予(われ)も人なり(その人も私も同じ人間だ)」と考え、自分も舜のようになろうと朝晩、努力したものだ、と述べたところから。このことわざなどは時代を超えて今も、人間の本質は変わらないものだから、自分鼓舞するのによく使われる。
 「彼を知り己を知らば百戦して殆(あやう)からず」敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないということ。『孫子・謀攻』に「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し(敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない。敵情を知らないで味方のことだけを知っているのでは、勝ったり負けたりして勝負がつかず、敵のことも味方のことも知らなければ必ず負ける)」とあるのに基づく。
「100回戦っても大丈夫」なのはあくまでも適切な準備ができているからで、それが戦うための条件だと言っている。相手の優位性について知るだけでなく、自分の弱点を知ることが重要という言葉。特にプロスポーツの世界のように実力が拮抗している場合に生きてくることわざ。
 「夏炉冬扇」夏の囲炉裏や冬の扇は、時期がはずれていて役に立たないことから。また、時宜を得ず役に立たない才能や言論のたとえ。
『論衡』に「益無き能を作し、補う無きの説を納るるは、夏を以て炉を進め、冬を以て扇を奏むるなり(役に立たない才能を振りかざし、役に立たない意見を君主に提出するのは、夏に囲炉裏をすすめ、冬に扇を差し出すことと同じだ)」とあるのに基づく。職場で働く人。あなたの上司にそんな人がいませんか。 次回に続く。



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