2023.5.31 諺集に見るわが人生(188)
今回は諺集(新明解故事ことわざ辞典:三省堂)「か行」の「こ」から始めて、回顧していくことにする。また諺からイメージできるものについても記述する(「」の前後の句読点は省略)。
「肯綮に中る(こうけいにあたる)」物事の急所をうまくつくこと、要点を巧みに探り当てること。
(由来) 「荘子―養よう生せい主しゅ」に出て来るエピソードから。紀元前四世紀、中国の戦国時代、ある料理の名人が、王の前で牛を解体して見せたときのこと。その手際のよさをほめられた彼は、「精神を研ぎ澄ませて牛の体にある隙間に沿って刃を走らせれば、『肯綮(筋肉と骨のつなぎ目)』に刃が当たることなどありません」と答えた。ここから転じて、最も重要な点のことを「肯綮」というようになった。
(使用例)実用には今は使われないが、明治時代、鴎外・阿部一族の中で「する事はいつも肯綮に中っていて間然すべきところがない」とある。
職人技を評するには持って来いの「ことわざ」だ。
「攻撃は最大の防御」防御をする前に、先手をうって攻撃を仕掛けることが一番の防御方法という意味。
実際、戦争が防御と攻撃の2種類で成り立っているとするならば、そのうち自分のほうで徹底的にできるのが防御だから、防御をしっかりやることによって、あとのエネルギーは全部攻撃にかけられる。そうすると、「攻撃は最大の防御」になるということを、まずこの冒頭で言っている。「攻撃」を先に行えば「防御」する必要がなくなる。このことから、有効な防御方法とは、先手をうって「攻撃」することであると表現している。「攻撃」と「防御」という相反する言葉を巧みに使い分け、導き出されたことわざで、「攻撃は最大の防御なり」とも言う。
(由来)には諸説ある。代表的なものでは、孫子の兵法の一節で「勝つべからざるは守るなり、勝つべきは攻むるなり」(勝てそうもないなら守るべき、勝てるなら攻めるべき)」
(類義)「先手必勝」戦いの局面で相手よりも先に攻撃を仕掛ければ、必ず勝てるということ。▽「先手」は相手よりも先に戦いを始め、出鼻をくじくことによって局面を有利にすること。
「先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす)」先に動けば他人を制圧できる。先に動けば状況を制圧できる。『史記(項羽本紀)』の中の殷通の言葉「先んずれば人を制す、後るれば則ち人の制する所と為る」から。 次回に続く。
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