2024.10.19 諺集に見るわが人生(308)
今回は諺集(新明解故事ことわざ辞典:三省堂)「さ行」の「せ」を、回顧していくことにする。また諺からイメージできるものについても記述する(「」の前後の句読点は省略)。
「臍下丹田(せいかたんでん)」
へそのすぐ下あたりのところ。漢方医学では、ここに意識を集中して力を集めれば、健康を保ち勇気がわいてくるという。▽「臍下」はへその下、「丹田」もへその下あたりの意。また、ここを「下丹田」ともいう。
出典『黄庭経こうていきょう』道教の用語であり、エネルギーの中心となる場所を指す。
(例文)姿勢をよくするためには、体の中心、臍下丹田を意識しないといけないんだよ。
「晴耕雨読(せいこううどく)」晴れた日には田畑を耕し、雨の日には読書に励むという生活をすること。
それは世俗から離れて、静かな田園生活や落ち着いた老後を描いている。
(由来)諸説あるが、最も有力なのは、明治時代の漢学者である塩谷節山(しおのやせつざん)の漢詩「晴耕雨読、優游(ゆうゆう)するに足る」を語源とする説。
(例文)文明の利器に慣れた現代の人には、晴耕雨読の生活は不便以外の何ものでもないだろう。
「「青山せいざん骨を埋うずむべし(せいざんほねをうずむべし)」男子たるものは、どこに行っても骨をうずめる覚悟があるということ。「青山」は、青々と木の茂った山。ここでは墓地の意で用いられている。わが国では幕末の僧月性げっしょうがこの句をもとにして、「人間(じんかん)至る処に青山あり」の句を作った。
(出典)蘇軾(そしょく)是処青山可埋骨、他年夜雨独傷神
(訳)是の処の青山骨を埋むべし。他年の夜雨独り神しんを傷まん
(例文)故郷に閉じこもっていてはもったいない。男子として生まれたからには青山骨を埋むべし。
「成事は説かず(せいじはとかず)」起きてしまったことや過ぎてしまったことをとやかく言ったり諫めたりとがめることはしない。
(出典)「論語」成事は説かず、遂事は諫めず、既往は咎めず
(補説)魯の君主、哀公が、孔子の門人の宰我(さいが)に樹木を御神体とする社のことを聞いたところ、宰我が、
「夏の時代には松、殷の人たちは柏(はく)、周代の人は栗(りつ)を使っている。栗は戦慄につうじるのでよくない」
と答えた。それを聞いて孔子が言ったのが、この戒めである。
過去のこと、あるいはしでかしたことをあれこれ批判してもはじまらないのである。 次回に続く。
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