2024.11.7 諺集に見るわが人生(313)
今回は諺集(新明解故事ことわざ辞典:三省堂)「さ行」の「せ」を、回顧していくことにする。また諺からイメージできるものについても記述する(「」の前後の句読点は省略)。
「切歯扼腕(せっしやくわん)」歯ぎしりして腕を自分の手で握って押さえ付けるほど悔しがること。
(由来)燕(えん)の太子、丹(タン)は秦の人質でしたが、脱出して燕に帰り、秦王政(セイ)の暗殺を企てます。それに選ばれたのが荊軻(ケイカ)です。荊軻は、秦の将軍で燕に亡命していた樊於期(ハンオキ)の首と燕の肥沃な土地の地図とをもって、秦王に近づき、隙を見て刺殺(シサツ)する方法しかないと考え、樊於期にこの計画を話したところ、樊於期は自分の腕を強く握りしめて(扼腕)、「これこそ わたしが日夜切歯(「歯ぎしり」のこと。 前歯の意味ではありません)して、心を砕いてきたところだ」(「切歯扼腕」)と、自ら自分の首を切り落としました。
(例文)先手をとられたことに、切歯拒腕するほかない。
「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」どうしても逃れられない困難な場合・立場にあること。追い詰められた状態。
[補説]「絶体」「絶命」はともに九星術でいう凶星の名。「絶対絶命」と書くのは誤り。
(由来)「絶体」は、体をそこねること。『荘子(そうじ)』に見える。「意(おもい)を繚(めぐ)らし体を絶ちて此(これ)を争う。亦(ま)た惑(まどい)ならずや」(人々が心をめぐらし、体を損なってまで財貨を争うのは、迷いも甚だしいではないか)とある。
「絶命」は、死ぬことで、古くは『書経(しょきょう)』にも見え、今も普通に使われる語だ。
(例文)どちらも勝ち目はなかった。 絶体絶命だった。 我々は絶体絶命のピンチに追い込まれた。 次回に続く。
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