kiji

2013-10-26上戸と下戸第二話
 どんな社会でも表と裏、建前と本音というものが存在する。勤務が終われば、先ず一杯と席が設けられる。酒が入ればポロリと本音が出る。濃密なコミュニケーションはこんな状況で取れるものらしい。(想像だが)
 そうした人間関係は職場でも引き継がれていく。俗な言い方でいえば、親分子分または派閥の形成といった形で表に出る。今は無くなったかも知れないが、待合政治といったものが存在したのは、裏の情報のやりとりのできる場所が在ったからである。(この情報については別稿「note:エッセイ」で取り上げたい)
 「酒なくて何の己の桜かな」という俳句が落語の中にある。これは「 花見に酒はつきもので、酒を飲まずに花見をしてもつまらない」という意味である。酒は良くも悪くも人生を豊かにする作用があるようだ。私は下戸だから「花より団子」の口である。古来より酒にまつわる名句、名言は山ほどある。しかし、下戸は相手にされない。残念だが「下戸は金持ちになれない」という諺が、私には身につまされる。倹約して、真面目に生きても金は残らない。けだし名言である。
 今回は下戸の僻み(ひがみ)と聞き流して(読み飛ばして)欲しい。「完」