2013.9.17 初秋夜半
ようやく朝晩涼しい風を感じる季節になった。窓を開け放って風を取り入れ、眠りに就く、寝つきが悪いので暗闇の中で聞こえる色々な音に耳を傾ける。 夜半は音だけの世界である。私はこの夜が奏でる音を楽しみながら眠りに入るのが習慣化している。
夏の盛りにはあれ程うるさかった蝉の声はなく、今は鈴虫やコオロギが、美しくリンリン、コロコロと弦楽器の演奏を聞かせてくれる。その中に仕舞い忘れた風鈴のチンチロリンという軽やかな音が混じる。
夜のしじまの中で耳に入る音は、虫の声だけではない。遠くの方からはザワザワとした音が港の方角から聞こえてくる。眠らぬ街の発する生活の音だ。そして仕事か夜遊びかは分からぬが、疲れたような靴音がコツコツと道を通り過ぎていく。
秋は風のシーズン。秋が発する音は、サーと掃くような音から、ヒューと切るような音まで時々刻々と変化する。秋の夜長はさながら自然の大音楽会だ。そんな、耳に届く色々な音を確かめている内に、次第に眠りは訪れる。
秋の夜はしじまの中の演奏会
プリマドンナは鈴虫の歌
風楽