2014.10.30 うす味
最近家の料理が総じて薄くなった感じがする。塩、砂糖、味噌、醤油全てが薄目に調理されているようだ。
元々は天ぷらやトンカツなど揚げ物が好きで、どちらかというと汁物も含めて濃い系の味に馴染んでいた。
生活習慣病と宣告され、食生活の舵は大きく切られた。結果、野菜が中心になり精進料理がメインディッシュとして、食卓を占める割合が高くなった。禅寺に端を発する精進料理だから、味付けは薄くなるのは当たり前のこと。
我が家の典座(てんぞと読む:禅寺の言わばシェフ)も当初は戸惑い、献立作りには苦労したと察するところがある。
味付けが変わったことで、味気に物足りなさを感じで食事に臨んでいたが、馴れてくると、この一味足りなさが妙に口当たりが良いことに気がついた。先ずあっさりしているので、食べ飽きることなく完食できる。日本を代表する懐石料理などは、微妙な味加減は、調理人が匠の技の見せ場と言えよう。素の味を活かしつつ、多彩な食材の美を楽しませる技は和食の極みである。
薄味になれたら、濃い味に戻るのは難しいだろう。食後に負担感が残らないのも良い。
野球ではないが、剛速球派かコントロール派かというと、長続きするのはコントロール派が圧倒的だ。食の世界も同様にコントロール派が3つ星以上を維持できる。包丁さばきと味付けの技が命の世界なのだろう。
そこまで大げさに強調するまでもなく、食を楽しみは上等なステーキにではなく、一碗の汁物に見ることができる。
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