kiji

2014.3.4春の空気を味わおう
 3月6日は啓蟄と言って、二十四節気の第三、二月節に当たる。この頃になると、冬ごもりしていた虫たちが外に這い出てくる。啓はひらく、蟄は虫が土の中に隠れるという意味がある。
 人も気候が暖かくなると、分厚い冬着とはおさらばして、軽装で春の野原を散歩するなど、外出の機会が増えてくる。家の中にも窓を開いて、春の外気を取り入れよう。
 日本の古い木造家屋は良く出来ていて、日本の気候に合うような、生活の知恵が盛り込まれていた。時代が進み、建材も変わり、家屋の構造自体が大きく変化してしまった。
 昔を懐かしむ訳でもないが、古い家屋を少しだけ思い返してみよう。今の家には廊下という概念は無いようだ。昔の家は庭に面して廊下(幅90センチ)があり、周囲はガラスの引き戸で囲われていた。更にその外側は杉戸の雨戸があり、これは戸袋に収納されていた。この廊下の部分を縁側と呼び、日当たりのいい場所にあり、庭から石の踏み台に履物を脱いで家に上がることができた。縁側の陽だまりの中、猫のように昼寝をしたことを思い出す。
 あの頃は、時間がゆったりと過ぎていたような記憶がある。今はそうした面影を残すのは、古い旅館ぐらいである。生活は貧しくとも、めぐる季節に合わせて模様替えする古い風習は、すっかり影を潜めてしまった。
 昔を懐かしんだところで、しょうがない話だ。ここは一番外に出て、花が咲き乱れる公園など散歩することにしよう。



 

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