2014.4.28昼間眠る街
街は時間帯でどこも違った顔を見せる。
普通の家庭では、朝の起床に始まり夜の就寝で、一日を過ごすのが普通だ。ところが街によっては、違う始まりと終わりがあるところもある。
買い物の都合で、地下鉄関内駅で降り、野毛の商店街に向かって、散歩がてらに歩いて見た。その時の話である。
伊勢佐木町と野毛との境に都橋という名の橋がある。ここを渡って左に曲がり、買い物目的の店を目指したのだが、川沿いには、川を挟んで福富町と宮川町がある。
宮川町を左側に見て歩いたのだが、ここには川に沿って細長くうねった二階建ての店舗が存在する。 殆どの店が呑み屋であったり、小さなバーであったりする。うらぶれた店が軒を連ねている。昼間開いている店などどこにもない。
きっとこの街の表情は、代こそ変われ半世紀以上も変わらないのだろう。ここでくらす人たちは、居付きなのか、通いなのかは知る由もないが、昼間は寝ていることだろう。どこも入り口を閉ざし、人の気配さえしない。
私はこの街の夜の顔は知らない。酒を飲まないから訪れたことがない。きっと覚醒した街は、その輝きを取り戻すのだろう。川を挟んだ福富町は歓楽街で有名である。規模も大きく、店もクラブのような格の違いを感じさせる店が多い。それでも、そこも昼間はここ同様眠る街である。
「夢は夜開く」という歌があったが、こうした夜遅くに煌めきを取り戻す街が、この川沿いには多く点在する。
街は私が生活する住宅街と歓楽街とでは明らかに違う顔をもつ。物事に表と裏があるように、街も二つの顔を持っているようだ。
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