2014.9.24 秋好日
お彼岸の中日に当たる秋分の日、久し振りに実家の墓参りに行ってきた。バスと地下鉄そしてバスを乗り継ぐこと一時間、市の公園墓地に辿り着いた。4年前までは車で来ていたが、運転しなくなったので、今回は初めて交通機関のお世話(敬老パス)になった。
天気が良く、絶好の行楽日だったので多くの人の姿と、お線香の煙があちこちに立ち昇っていた。墓所に着くと、早速藪蚊の大きい集団が待ち構えていた。これは想定していたので、腰に電気蚊取りをぶら下げて行ったのだが、それでも露出した腕を刺されてしまった。デング熱の危機があるので、少し不安になった。墓前には先行者が既に来た跡があり供花もしてあったので、水だけ墓石にかけ、急いでお線香をあげて早々に引き揚げた。
以前のコラムで秋桜を供花したいと書いたが、それは果たさなかった。それでも長年の宿題を済ませたようで、胸のつかえが下りたような気がした。
帰り道墓地の坂を下っていくと、若い子連れ世代がハイキングに来たかのような感じで気軽に墓参りしている姿を多く見かけた。世代に受け継がれていく姿を見ることができるのは嬉しいことだ。そんな中こんな風景に出合った。そのような若い家族連れの賑やかな声が聞こえる。坂の上から見下ろすと、どうやら墓の前にある栗の木の実を採っている様子だ。父親が崖の中ほどで長い枯れ木の枝(先が二股)で器用に実を落としている。下では母親と二人の小学生ぐらいの子どもがキャッキャッと騒ぎながら、実を拾い大きな袋に入れている。
市営の墓地の植栽に栗の木はあまり見かけないが、この墓の施主がずっと昔に植えたものかもしれない。お寺の庫裏と栗と掛けた洒落だと思うが、見事に育って収穫できるまでになっている。あの家族はこの日を待ち望んで訪れているのかも知れない。とった大量の栗はどうするのだろう。ご近所に「うちのお墓で採れた栗です」とでも言って配るのだろうか、勝手な想像をしてみた。
秋好日ほほえましい光景に出合った。
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