街中で見かける元気なお年寄り(見かけであるが)の姿をスケッチしてみた。
早朝散歩していると、先ず出会うのが愛犬に散歩させているお年寄りで、犬の散歩か自分が犬に散歩させてもらっているのよく分からない風にも見えるが。
大概、犬を通して知り合ったお仲間が、道端でおしゃべりをしている風景に出会う。話の内容は知る由もないが、犬が人間の仲を取り持ったことは間違いない。年寄りはどうしても孤独に陥りがちだ。子供が大きくなり家庭を持つようになると、家を離れる。年寄りばかりの団地や分譲住宅地が増えているのも事実だ。こうした人たちとって、飼い主に忠実な犬は家族以上の存在なのかもしれない。
ご婦人同士連れだって朝のウォーキングをしている姿もよく見かける。ジョギングではないからのんびりしたもので、世間話に花を咲かせているに違いない 。差別意識でいうわけでは決してないが、女3人集まれば姦しい という字があるくらいだから、話題は無制限 なのだろう。お年を召したご婦人は共通の趣味さえあれば直ぐにお友達になれる。話題に乏しく、付き合い下手な私から見れば、うらやましい限りだ。
朝の公園も結構お年寄りが集う場所だ。 多分、町内会の老人会仲間で体操や太極拳らしき動きの運動を見る事ができる。これで、今日も一日元気にガンバロー といった様子が伝わってくる。公園は午前9時ころには ゲートボール場と化す。殆どの公園を見ても、多くの地元老人のサークルがゲームに興じている。私は未体験であるが、結構面白い競技らしい、みんな集中している。アドレナリンが出すぎて諍いが起きることもあるという話だ。 グランドゴルフというのもあるらしいが、学校の校庭が解放されないと使えないから、普及には時間がかかりそうだ。
昼間の市営バスは殆どの席は老人で占められ、さながら老人専用バスになる。年間使える敬老パスで乗る人が大半だ。ここも結構仲間同士で乗るので、おしゃべりを拝聴できる。買い物に行く人、病院に行く人それぞれ目指す場所は違うので、必ずしも元気なお年寄りとは言い切れないが。
終点の横浜駅西口(横浜から山側のルートはほとんどのターミナルになっている) まで行く人はショッピングが目当てだから、元気なのだろう。このことは高齢者の購買意欲は侮れないということでもある。その割にショッピングセンターの休憩場所は極端に少ないのは問題だ。
買い物といえば、スーパーに男性のお年寄りが増えている。日常の買い物は主婦の仕事だとばかり思っていたが、男女分業で家事も夫婦でシェアしているのだろうか。それとも、寂しい男やもめの姿なのだろうか。少なくともそこからは亭主関白などという言葉は浮かんでこない。
行きつけのカフェで見かける光景。昼間は老人客が多い。観察すると面白い状況が見て取れる。
男性客と女性客とでは際立った違いが見られる。男性は一人客が多く、女性は複数客が多い。男性はゆっくり時間をかけて新聞を読み、読書などで時間を過ごす。孤独さが滲み出る。それに対し女性は賑やかだ。常連が多くおしゃべりに余念がない。話題が尽きるということは無いらしい。多少みなさん耳が遠くなっているらしく、声が大きい。いやでも話し声が耳に届く。大体家庭生活の話題が多く、人間関係や買い物情報など幅広い。多分こうして毎日情報交換しているのだろう。
男性の滞在時間は約一時間。これに対し女性は、私が良く見かけるご婦人たち(と言うか婆ちゃん方)は約六時間。多分他のグループでも二時間以上だろう。完全に元は取れる。飲み物のお代わりは100円だから、割安で軽食もあるから昼食をはさんで、延々と話が続く。
ある意味で地域のコミュニティーセンターのようなものだ。男性の場合は休憩だが、女性は会話を楽しんでいるから、確かに脳の活性化につながる。こうして元気のエネルギーを補給しているのだろう。
かくして男はますます孤独になり、元気が失せていく。これに対し女の強さは、この光景からも見て取れるように、おしゃべりでストレスを解消し、ぼけ防止も合わせて実行する。元気の源泉を的確にとらえ、本能的に実践できるところにあるようだ。
近くの大口駅から出るバスも乗客の八割近くが女性で、敬老パスを使い繁華街へと繰り出し活動範囲を広げる。
こうした観察から、一見男性社会のように見える日本も、高齢者社会においては、既に女性によって実効支配されていると・・私は見ている。
社会に奉仕する活動をしているご老人も多い。早朝(5時ごろ)の公園清掃をしているボランティア 。中年の人も交じっているが、70歳を超えた高齢者が公園を綺麗にしている姿には頭が下がる思いがする。
そうと知ってか、知らずか平気で食べかすなどの容器を捨てていく若者が多いのも事実だ。後片付けができない若者が増えているのは見本となる大人の教育なのか。
せっかく綺麗にした公園は大事に使ってもらいたいものだ。
もし、お年寄りが元気に動ける社会システムを作ってくれるのなら、消費税増税に文句を言う人もずっと少なくなると思うのだが。老人パワーを少しでも多く活用してほしい。老人を弱者として決めつけ、それを助けるのが政治だという上から目線は鼻持ちならない。