滝野川緑道は、東横線東白楽駅近くの神奈川工業高校入口にある平川橋を起点とし、国道1号線の二ツ谷町交差点までの短い緑道である。緑道の両脇には若木や季節の花々が植えられているが、秋に咲く花は少なく、小さくて白やピンクの地味な色彩で彩られていた。
秋の好日。緑道を散歩し、幾つかの花を撮影した。この緑道ができ立ての頃は花の名前や木の種類を示す名札があったのだが、今は殆ど無くなってしまった。名前を覚えるのが不得意で、道端に咲く花の名前は殆ど覚えない。家で植物図鑑を総動員して調べたのが、以下に示す花である(花名は自信がないが)。
せっかく図鑑を開いたので、それらしき花の氏素性をはっきりさせ、ついでにその花にまつわる歳時記も付記することにした(花と木の名前事典:西東社)。写真はスライドショウでご覧頂きたい。
コスモス 別名秋桜 キク科 耐寒性春まき1年草 花期6月~10月
メキシコ原産だが青空に映える原風景の一つである。黄色コスモスも晩夏から初秋にかけてよく見かける。
青空に手あげてきるや秋桜 五十嵐故郷
コスモスを離れし蝶に峪深し 水原秋桜子
ランタナ 別名七変化 クマツヅラ科 シチヘンゲ属
常緑の小低木で花期は4月~11月と長い。紫陽花に似ているが立派な花で、小さな花が5cmほどの手まり状に集まり、次々と咲いていく。蕾から花が開くまでに複雑に変化し、不思議な花の集合体になっている。手元の植物大図鑑にも記載がなく、街の緑道で見かけるというのも不思議である。俳句は紫陽花の七変化に関するものはあるが、この花の記載は見つからなかった。そこで一句。
紫陽花に似たランタナの七変化 風楽
キョウチクトウ(夾竹桃) キョウチクトウ科 常緑低木 花期6月~9月
インド原産の常緑樹で江戸時代に渡来。葉は長楕円形。乾燥や大気汚染に強く、防音効果も高いところから、道路沿いの生垣などに常緑樹として広く利用されている。花の色も多種[経口性の有害植物]。
夾竹桃一枝折れて咲きゐたり 徳川夢声
オシロイバナ 別名夕化粧 オシロイバナ科非耐寒性春まき1年草 花期7月~10月
空地や道沿いに軍政していることが多い。花は黄色、紅色、白色などがあり、夕方に咲きだし朝にしぼむ。秋には午前中でも花は残る。
おしろいの花の紅白はねちがひ 富安風生
サルスベリ 別名百日紅 ミソハギ科 落葉小高木 花期7月~9月
木肌の滑らかさを、猿も滑ると例えたことから。百日紅は開花期が非常に長く、百日間、花が咲き続けることからの由来名。赤、白、青、茶、桃色などと多色。
ゆうばえにこぼるる花やさるすべり 日野草城