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2017.6.3 ベスト なお金の使い方3

 調査結果の仕分けも、大体のパターンが見えてきた。前回と同じ類型に属するものには(2)をつけて示した。
 それでも分類される項目は増え続け、金の使い方は玉手箱のような、開けてビックリ型も出てきそうな雰囲気になってきた。ここまでの傾向としては、節約や先行投資といった堅実な使い方が目立って増えている。
「教育重視型」
・子供に買ってやる絵本は高いもので1000円以上する。しかし、小さい頃に上質の絵本に触れていると、潜在意識の中で育まれるものが大きいと感じる。優しさや美意識が育まれる。
「クオリティ重視型(2)」
・きちんと財産として残るようなものに金を使う。
・生活に必要なものをまとめ買いする。
「貯蓄型」
・給与に手をつけず、それまでに貯めた貯金で生活費をねん出する。
「均衡型(2)」
・ちょっと高い物は手が届きやすく、壊れた時も心のダメージが軽く済む。
「コスパ型」
・安くて高品質な物を買うのがベスト。例えば高そうにみえるシックな服をセールで安く買う。また、リサイクルショップで美品の服を買う。
「棚ぼた型」
・宝くじが当たった時には利殖(10年国債の利子で着実に増やす)とか自己投資(人生を豊かにするための資格や趣味の幅を広げる。
「節約優先型」
・必要ないものは買わない。必要な物を必要な時に買う。最小限の買い物しかしない。
・普段はしっかり節約してそのためたお金で旅行にいったり、家の頭金をポンと出せるよう、目標をもって節約する。
「先行投資型(2)」
・資格取得の勉強や留学など、自分のスキルアップのためにお金を使う。なぜなら、そこで費やしたお金は後により良いキャリア、より高い収入として自分に返ってくる。能力への投資は充実した人生に繋がる。
・将来のために自己投資として学校や習い事に使ったり、知識を得るために書籍を購入したりとその場限りでは終わらないお金の使い方がベスト。
・「本当に自分にとって役に立つこと」や「自分やまわりの人の成長につながること」に金を使う。
「危機管理型」
・先の見えない世の中では景気は、将来的にどのようにな事態になるのか想像できない面もあるので、お金はしっかりと貯金しておくことが大切。貯金は増えてくる額はそんなに期待できないが、確実に残すことができる。

2017.6.7 ベスト なお金の使い方4
 今回も回答が重なるものは(2‐3)とし、新しいものは新しい分類を追加した。
「資金運用型」
・日本株に投資する。
・株式や投資信託などに対する投資でお金を増やすこと。金、プラチナへの投資でも良い。
・しっかりした金融機関での貯金や投資など将来に備えた使い方。
「コスパ型(2)」
・アマゾンでの買い物は選択肢が多く、より堅実な買い物ができる。
・費用をかけても良いものを買って長く大切に使えば結局は割に合うことになる。
「節約優先型(2)」
・必要最低限の衣食住に絞り込んでお金を使う.
「棚ぼた型(2)」
・ギャンブルで日常では味わえない興奮を買うことができる。
「先行投資型(3)」
・自分の身につくものに対しての支出。資格などは就職する際に有利となる。
・まず投資の仕方が上手な人ですね。不動産投資とか株とかは、先が読める賢い人でないとできない。
・お金の使い道は自分投資が賢い。勿体ない…と思わずにどんどん自分のためにお金を使うのが良い。
・お金に余裕があれば株式投資がしたい。資産運用している人は賢い。
「均衡型(2)」
・自身の趣味の範囲に使うお金と、突然の入院や思いがけない出費に備えた、いざという時のために貯めておくお金とがあり、この二つのお金の管理をしっかりする事。
「家計簿管理型」
・金額はそれぞれに指定し、趣味のお金は設定以上には絶対使わない。いざという時のために貯めておくお金は、「一ヶ月○○○○円」と少額でもいいので、コツコツ積み立てるかたちにする。常にこの考えでお金を管理・使用していく。
「クオリティ重視型(2)」
・自分が価値を感じられるものにお金を出すべき。
・より重要なところを見分け、そこにお金かける。
「チャリティー指向型(2)」
・寄付されている方は賢い以前に人間性が素晴らしいと思う。
 以上、このアンケートから仕分けされた「ベストなお金の使い方」の類型を示した。
 このテーマの最終回はこの結果を統計的に分析して、消費性向のようなものを探ることにしたい。

2017.6.11 ベストなお金の使い方(まとめ)
 この調査の原題は100人に聞いた「賢いお金の使い方」であるが、賢いかどうかは個人の価値判断であるので、ここでは調査対象者が自分で思ているベストな使い方と判断して改題した。
 回答内容を仕分けした結果を示すが、この分類は私の独断で「××型」としたものである。
 「××型」の次のカッコ内の数字は回答数で、その後に各項目の回答をまとめたコメントを付けた。
「下調べ型」(1) あちこちの店を回って比較検討する。
「先行投資型」(8) 将来に備え資金運用で利殖する、備えあれば患いなしである。
「クオリティ重視型」(5) 安物を買わず、品質重視で長持ちするものを買う。
「均衡型」(2) バランスのとれた出費と貯蓄を順守する。
「ノウハウ蓄積型」(1) ビジネス書籍を購入し、上昇志向する。
「メリハリ型」(1) 大きな出費に備え、確り貯蓄し家などを購入する。
「チャリティー指向型」(2) 人助けに使う「慈善タイプ」でヒューマニスト。
「教育重視型」(1) 子どもの教育に役立つものに金をかける。子どもは宝物。
「貯蓄型」(1) ひたすら貯金する。金があればいざという時に自由に動かせる。
「棚ぼた型」(2) 宝くじやギャンブルで一獲千金をねらる。欲求不満解消にもなる。
「節約優先型」(3) 先ず節約し、必要なもの(衣食住)だけに使う。爪に火を点すように貯める。
「危機管理型」(1) 先が読めない将来に備える。専守防衛が身を助ける。
「資金運用型」(3) 株式・投資信託・貯金など財産を増やす。利殖が一番。
「家計簿管理型」(1) 収入・出費をコントロールするお金を計画運用するのに必要。
 以上14の分類(32回答分)ができた。
 一番は先行投資であり、これは資金運用・危機管理と重なるので、数としては最も多く、全体の35%近くを占める。お金のある人はこうした形で資産を増やしていく。これを見ても貧富の格差が広がる模様が見えてくる。
 2番目がクオリティ重視で、確かに品質が良いものは長持ちし、飽きがこないのは確かで、賢い買い方であることが読み取れる。この裏返しに節約志向の人は100均ショップなどを利用することが多い。これは考え方の相違で、用が足りればそれでいいという考え、ブランド志向は無駄遣いまたは自己満足と考えるかも知れない。 
 調査対象者が子育て世代のように見えるが「教育投資」が少ないのが気になる。節約もいいが今を豊かにという発想に程遠いというのが、今回の調査から見える結論と言えよう。

2017.6.15 いろはかるた
 どうやら梅雨の季節に入ったようだ。家で過ごす時間が長くなるおじいちゃん、おばあちゃん方、お孫さんと昔懐かしいいろはがるたなどして遊んではいかが。
 私も子どもの頃遊んで断片的に覚えている。「犬も歩けば棒に当たる」とか「論より証拠」が浮かんでくる。この「いろはかるた」実は二種類あり、どちらも聞けば思い当たるものばかりだが、「江戸かるた」と「京かるた」に分けられる。元々の発祥は京都で考案されたもので、それが流布して大阪そして江戸へと次第に広まっていったということだ。
 最初に示した2つは「江戸かるた」で、これに当たる「京かるた」は「一寸先は闇」と「論語読みの論語知らず」で別物である。
 小倉百人一首より庶民的で分かりやすい。特に、短歌の形式は取らないで、字数も枠にはまっていない、いわば「ことわざ」の形で庶民感覚に溢れているところがよい。「旅は道連れ世は情け」など心温まるものがある。と思えば「地獄の沙汰も金次第」と現実の厳しさもしっかり盛り込まれている。遊び方は48枚の文字札と、同数の絵札からなり、絵札を座中(畳の上)にまき散らし、文字札を読み上げるごとに、それに見合った絵札を拾い取ることを競うものである。
 ネットで「現代版のいろはかるた」を探したところ、大正時代に子供読本に収載された羽仁もと子さんの「新選いろはかるた」というのがあった。
 このかるたの「い」は「今は世界の日本国」と日露戦争後の国情を表している。「き」が「きまりわるさはちょっとの間」と結構面白いフレーズもあるのだが、私も知らなかったし、大概の人は知らないだろう。結局「いろはかるたは」は京と江戸に尽きるといったところか。
 「笑う門には福来る(京かるた)」子どもたちと輪になって遊ぶ。そんな世であってほしいものだ。

2017.6.18 自分は何系?
 これは学問上でいうところの文系とか理系といった分類に、自分はどっちに偏っているかという話である。
 自分では今している活動(電網作家と勝手に名付けている)から判断して、文系だと思っていた。物書きは大体文系に属するものだという思い込みがあったからだ。
 ところが、このコラムを書くに当たってネットで文系と理系の相違について調べてみたところ(私は物を書く前に必ず下調べをする)、その中に適性検査みたいな書き込みがあり、10項目について自分はどっちを選ぶかという二者択一に答えた。その結果の判定は驚くことに70%の確率で理系であると判定された。
 中学までは算数が得意だったが、高校に入った途端「物理」や「幾何」などの課目に出合い、途端に「これは苦手だ」と感じた。本を読むことは昔から好きで、国語や歴史は面白かった。どうもよく考えると教師の授業の教え方に問題があったと今にして思う。東大出の先生が教え方が上手いとは限らないということだ。むしろ知識が高すぎて、それが邪魔して、理解できないのは生徒の頭が悪いからだと決め込んでしまう。「本当は教え方が下手なだけなのに」という訳で、この頃を契機に自分は文系向きだと思い込んで今日に至っている。
 ところが今の活動を先ほどのネット検索と照らし合わせてみると、確かに理系であることが分かる。少々その根拠を示してみよう。
・自然に左右の手を重ねた時、左手が上になるのが理系である。実に明快な判定方法だ。私は左手が上になる。
・物事に対して理屈っぽい。先に書いたように下調べなどしないと安心できないような面は理系で、文系は大雑把で気にいないタイプだそうだ。
・理系は冷静で自分を客観視できるが文系はすべてに情熱的で理屈抜きで行動する。もちろん私は前者である。
・理系は人づきあいが苦手。一人の時間でいるのが多い。文系は社交的で、常に誰かとおしゃべりしているのが好きで、一人では寂しくてしょうがない。私は一人で考え事に浸る時間を大切にしている。
 このように、まだまだ沢山の比較項目があるが、字数の関係でこれくらいにするが、どう見ても理系という判定が出てしまう。人から見ればシコシコとホームページ作りに没頭している私などは、理系そのものだと判定しているのかもしれない。
 ちなみに女性は文系が多いということだ。
 もっとも私も30%は文系だから、この辺にもう少し光を当てて、今更ながらせいぜい愛想など振りまくことにしよう。

2017.6.22 仕事か趣味か道楽か
 前回「自分では今している活動を電網作家と勝手に名付けている」と書いたが、これは造語でこんな職業はない。
 実は最初「今自分のしている仕事は」と書きたかったのだが、仕事というのはその対価として収入を得るというような定義付けがしてあった。「それじゃいったいどう表現したらいいのか」と考えた。自分が現役だった時の仕事の延長線上にあることは確かで、退職後はパソコンのインストラクターを10年ほど続けて更にノウハウを培ってきた。
 収入の道が途絶えてからも、このようにHP( ホームページ)の作成に励んでいるわけだから、これはいわば天職(英語ではCalling:天の声による仕事という意味を持つ職業のこと)だと思っているので、これは無償の行為だから仕事とは呼べない。
 「それは趣味の延長と言うんだよ」という声が聞こえてくる。一方「金かけて遊んでんだから、それは道楽だよ」という声も聞こえてきそうだ。自分では趣味の延長でもなく、道楽というにはもう少し余裕がない。仕事でもなく、趣味でもなく、道楽でもない、そこで電網作家という仮想の物書きとしょうしているわけである。
 天職というのは、技術系では大工、板前、外科医など、文科系では文系学者、作家などで、仕事について、その道一筋で生涯を終え、人が認める業績を残すような仕事のことだと思う。
 それに比べ75歳にして目覚め、ネットという電子化された世界に生き甲斐を見出だしている者が、よりによって天職などと言うのは、おこがましい限りだろう。
 またこんな声が聞こえてくる「そういうのって、年寄りの暇潰しに過ぎないんじゃない」恐れ入ります。「そうです。私を電網作家と呼んで下さい」

2017.6.26 年寄りの暇つぶし(1)
 このコラムが提供する話題について「そのネタ探しには結構苦労する」と、以前書いたことを覚えている。
 実は一つ発見したことがある。それは今回の話題となっている『年寄りの暇潰し』は、前回のコラムの終りの方で書いた言葉の連想から書き繋いだ形を取っている。これは現在掲載中の「ことば遊びシリーズ」に、こういう遊びがある。それをコピーしてくると「あまり知られていない 『つみあげうた』という、ことば遊びがある、これは文章に後から文をどんどんと継ぎ足していく遊びのことで、『きりなしうた』とも言う」という一文からヒントを得ている。
 その考え方に従えば、これから書く話が、また次の話題に繋がるヒントを提供してくれる。この試みが成功すれば、ここのコラムはテーマに事欠かないことになる。実際うまく話が進んでいけば、これは私にとって画期的成果をもたらしたことになる。ただこれは仮定の話で、そんな美味しい話があるのか???
 そこで今回のテーマに戻すことにする。
 家の中で一日を過ごし、たまに散歩に出かける程度の無職、年金暮らしの老人は今や国民の三分の一に達しようとしている。
 こうした人たちの一日の生活は、見方によるが「暇つぶしの人生」に映るかもしれない。
 問題は我々暇つぶし世代の「暇つぶし」の在り方にある。終わりある人の一生の余生であるから、時間に限りがあることは共通している。その在り方とは時間の使い方をどうしているかということだ。
 人は多様な生活パターンを持つことは前にも記したことだが、朝起きて夜寝るまでの間、何らかの活動をして生活している。それは我々を支えてくれている現役世代でも同様であろう。その人たちとの大きな相違は生活のために苦労して仕事をしているところにある。
 「この何らかの活動」の内容が、仕事をしているか、そうでないかの差で「暇つぶし世代」と一言で片づけられてしまうとしたら、情けないことと言うしかない。ひがんでいるように聞こえたら、お許し願いたい。
 今回はここまでにして、次回に「暇つぶし」属の一寸の魂を示すことにしよう。

2017.6.29 年寄りの暇つぶし(2)
 年寄りといっても年代幅は広いし、健康状態も人さまざまだといえる。
 ここでは定年から再任用(再雇用)につく人の多い65歳未満は除外し、65歳以上元気でまだ働ける余力を持つと思われる75歳までを想定して、どのような活動ができるかを考えてみた。それは私なりの理由がある。私のリタイヤ年齢は77歳と自分で決めていた。すこし掲げた基準より長かったが、75歳を過ぎると急速に肉体の衰えを感じることになり、それで引き際を決めたという経緯がある。
 そこで今回話題にするのが、一線を退いても心身共に確りした能力も技術もある人が、老後をどう過ごすかということである。最近では勤務できる年齢は70歳ぐらいと判断して、いろいろな形態で採用している企業もあらわれている。これは時流に合っており、任意を前提に70歳定年に引き上げるのも、現役世代への負担を軽くすることに貢献するだろうと思う。
 現在の高齢者対策としての社会システムはどうなっているか調べると、最近出された調査報告『高齢者が活躍できる場を拡大するための自治体支援策に関する調査報告(地方自治研究機構:平成26年3月』という題名も内容も長い報告書がある。
 この中で平成24年に団塊の世代6,000人を対象にした調査がある。回答数は全体の58.6%で、その中で10%以上の人が答えた項目(複数回答あり)を回答率が高かった順位で紹介すると、「趣味・スポーツ」31.8%、「一人暮らしなど見守りが必要な高齢者を支援する」18.2%、「地域事業(祭りやイベント)を支援する」15.1%、「環境保全・美化(公園清掃など)」13.0%、「自治会・町内会・老人クラブ・NPO団体などの役員・事務局」11.1%、「地域の伝統や文化を伝える」10.9%、「防犯や災害時の救援・支援」10.3%となっており、全体の110.3%に達しており、自分の趣味以外にも地域への貢献意欲が強いことが読み取れる。
 次回はその活動実例を自治体の中からピックアップし、その自治体がどのような支援策を講じているかを紹介する。