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 言葉を使わない表現


表現1(ボディランゲージ)

 「縦・横・斜に振るものな~んだ」のっけからナゾナゾで始める。答えは「首」縦は「頷くこと」横は「否定すること」斜は「はてなと言った疑問を示すこと」ということを表現している。
 このように人は言葉でなく、体で自分の意志を伝えたりする。コミュニケーションの一つで、広く知られているボディランゲージの一種である。社会学者はこれを「非言語行動」などと難しげな分類をしている。
 体で表現するする方法で、直ぐに上げることのできるものがかなりある。ただこの表現法はお国柄を反映しており、万国共通というものでもない。その辺を理解しないで、ほかの国で同じ手法を使うと誤解を招き、飛んでもないことにも発展するので、注意が必要である。
 指で表現するものでは、親指と人差し指で作る円は、わが国では「お金」ないし「OK」のサインで通じるが、ブラジルなどでは性行為そのものを指すとされているので、下手に日本女性がブラジル男性にこんなサインを出すと、どういうことになるか察して頂きたい。
 これも指で示すサインで「サインはⅤ」で知られる、人差し指と中指を広げてⅤ字を相手に見せるのは、勝利のアピールである。必ずしも勝利だけではなく、写真のポーズとして女性が街中でこうしたサインを出して写真に収まる姿を見る。最近は「ハイチーズ」だけではないようだ。
 他にもそれぞれの指で示す表現がある。競技の優勝者がゴールを切るとき、人差し指を高く掲げて宣言するのが「No.1」のポーズ。これは拳固を突き上げる場合もある。
 最後の例は小指のサイン。日本では男が対話の中で、小指を立てて表現するのは「彼女」のこと「君のこれは」などと言いながら小指を立てる。
 今回は限られた「非言語行動」に絞ったが、普段何気ない仕草で「体で表現」している覚えは、誰にでもあることだろう。2015.4.22

表現2(顔と頭)
 人がいろいろな表情の変化で、自分の気持ちを相手に伝える表現をする。「表現1(ボディランゲージ)」でもほんの少し書いているが、よく観察すると人間の表情はその感情の動きで、実によく変化するものだ。ここでは気持ちの表し方として顔(頭を含む)がどう変わるか紹介することにしよう。
 感情の変化などを体で表すことを、先に書いたように非言語表現と言って、身振り言語(ジェスチュア)とか身体言語(ボディランゲージ)という。
 ある研究者の説によれば、現実のコミュニケーションの中で、メッセージを伝える手段として言葉を使うのは高々30~35%で、残りは非言語行動によるものだという。
 最近はスマホが普及しており、特に若者はSNSやLINEとかファイスブック、ツィッターと言った簡略なコミュニケーション手段が普及しているため(どこかの大統領も常用している)、その比率は研究者が発表した時代とはずいぶん違っているものと思われる。
 それでも言外の表現という行動は数多くある。実例をあげてみよう。
①分かったというサインとして、「うなずく(同意・肯定)」 ②その反対のNOのサインは「首振り(不同意・否定)」③思案投げ首といった「首かしげ(思案・軽い疑い)」 ④それは無いだろうといった身振りとして「首すくめ(茶化す・とぼける)」 ⑤うなだれるのを「首垂れ(意気消沈)」 ⑥意のままにならない「しかめっ面(怒り・不安・憂い)」 ⑦不愉快な思い「眉ひそめ(不快感)」⑧気に入らない「ふくれ面(不満・不服)」 ⑨相手の出方を探る「上目遣い(顔色を窺う)」 ⑩相手の注意を他に向けさせる「目配せ(合図・喚起)」などを上げることができる。
このように非言語表現は結構あるものだ。次回はこれに手を交えた表現について観察する。(参考文献:記号の事典 三省堂)2017.4.7 

表現3(手振り)
 人が言語で意思表示をする以前の時代、つまり原始時代ではまずものを食べたり、泣いたり、咳をするといった生きていくための生理的・偶発的表現から非言語表現は始まったという。
 それから徐々に特定行為として、要求や誘いかけ、感情表現へと発達したと言われている。これは人類全般に共通の表現効果をもたらすものではなく、同じ表現方法が間違って受け取られる場合もあるので、ここで示すものは日本人固有のサインと理解してもらいたい。
 前回は顔(特に目の動き)の表情で示す非言語表現について観察したが、今回はそれに手の仕草を交えた非言語表現について観察することにしよう。前回から続く連番で示す。
 ⑪口惜しさ・嘲り(あざけり)の意図を片手の指先で見尻を下げ、同時にベロを出す「アッカンベー(悪態)」 ⑫静粛に・黙っての意思を伝える「唇に人差し指を立てる(静かに)」 ⑬臭い匂いがすると自然に鼻をつまむが、一種のサインとしての「鼻つまみ(嫌われ者)」の表現にも使われる。 ⑭拳骨を鼻の頭に着けて「天狗になっている(自慢している人をからかう)」一種の陰口の表現もある。 ⑮「失敗した!どうしようー」の振りは、何かに失敗して、動揺している状態を示す「おでこたたき(やっちまった)」 ⑯こいつはどうも怪しい話だという時「眉唾(騙されないぞ)」 ⑰ヤー申し訳ない「頭かき(照れ隠し)」 ⑱しめた、ヤッター「パチンと指鳴らし(結果がうまくいった)」 ⑲あいつはパーだ「握り拳を頭の脇でパッと開く(頭がおかしいとかバカもん)」 ⑳選手宣誓「右手を斜め45度の角度で上げる(挙手・挨拶・宣誓)」
 このほか「手のひらを立てる(ちょっと待て)」・「手のひらを合わせる(お願いします)」・「胸をたたく(任せとけ)」・「手振り(さよなら・挨拶)」なども手を使った非言語表現である。次回は指の動きで表現するパターンを紹介する。(参考文献:記号の事典 三省堂)
2017.4.10 

表現4(指と拳)
 ここでは指の形で示したり、拳の作り方で示す非言語表現について観察する。これも日本人固有のサインと理解してもらいたい。英語ではハンドサインとサムズアップというが、同じサインでも外国で自国にいる気持ちで使うと、意味する内容が違うので、取り返しの付かない事態を招きかねないので注意する必要がある。前回から続く連番で示す。
 ㉑お金を表す時親指と人差し指で輪っかを作る「リング(お金)」 ㉒ひとのものを盗む行為を示す「人差し指を曲げる(盗み、泥棒)」 ㉓俺のコレとか言って女性を示す「小指立て(彼女、女の人)」 ㉔ちゃんちゃんバラバラ「人差し指を切りまじえ(喧嘩))」 ㉕ 指切りげんまん。嘘ついたら針千本飲ます「二人で小指を絡み合わせる(約束)」 ㉖手と手を握り合って親交のしるしを示す「握手(挨拶 )」などが指の形で示す表現として挙げられる。
 ㉗拳を使った表現もある。このルーツは16世紀中頃に中国から伝来したものが日本で広まったものである。代表的なのが「じゃん拳」で、拳を作る「グー(石)」五指すべてを広げる「パー(紙)」二本の指を広げる「チョキ(ハサミ)」を使って勝ち負けを争う。 ㉘虫拳という遊びがあった。蛙と蛇となめくじの三すくみによる拳遊び。日本の拳遊びで一番古いものと伝えられている。親指が蛙、人差し指が蛇、小指がなめくじを現す。蛙はナメクジに勝ち、ナメクジは蛇に勝ち、蛇は蛙に勝つ。その他、遊び方はじゃんけんに同じ。じゃんけんの普及にともなって現在では廃れた。
 これに似た三すくみの遊びに ㉙藤八拳(トウハチケン)がある。江戸時代の座敷遊びで、二人が相対し、両手を開いて耳のあたりに上げるのを狐、ひざの上に置くのを庄屋、左手を前に突き出すのを鉄砲(または狩人)と定め、狐は庄屋に、庄屋は鉄砲に、鉄砲は狐にそれぞれ勝つ。別名狐拳(きつねけん)とも庄屋拳ともいう。(完)(参考文献:記号の事典 三省堂)2017.4.14 







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