生物百様で紹介してきた花や果実のイラストをダイジェスト版として、1回12枚構成で順次解説を付けて紹介するシリーズで、今回は2回目。説明文は原色牧野植物大図鑑などを使わせて頂いた。
ハナショウブ(花菖蒲) アヤメ科アヤメ属
野花菖蒲を原種として改良してできた日本特産の園芸品で、水辺など湿った地に栽培される多年草。高さ60~80cm群生する。紫のさまで濃からず花菖蒲 久保田万太郎
茶の花 ツバキ科チヤ属
日本及び中国に分布し、1191年栄西が製法とともに宋から持ち帰り広まった。茶園では低木状に栽植する。花は秋。茶の花も崖も静かにこぼれゐる 水原秋櫻子
浜昼顔 ヒルガオ科ヒルガオ属
日本各地の海岸の砂浜にはえる多年草。はなは晩秋。和名は浜にはえるヒルガオの意。2枚の包みが5枚のがくを囲む。花冠は径4~5cm。昼顔のほとりによべの渚あり(今は昼顔が淡い花をつづっているこの辺りに、昨夜は満潮の潮が渚を作っていた) 石田波郷
アジサイ(紫陽花) ユキノシタ科アジサイ属
日本特産の園芸種。落葉低木で、5月から7月に紫(赤紫から青紫)の花を咲かせる。一般に花といわれている部分は萼(がく)が大きく発達した装飾花。紫陽花や藪を小庭の別座敷 芭蕉
クチナシ アカネ科クチナシ属
東海以西の暖地に自生もあるが、多くは鑑賞用に植えられる常緑低木。甘い香りを放つ純白の
大形六弁花を梅雨の頃開く。口なしの花はや文の褪せるごと 中村草田男
タイサンボク(泰山木) モクレン科ホオノキ属
北米中南部原産。花期は5~7月頃。葉の表面には光沢があり、裏面は毛が密生しており錆び色に見える。日本では公園樹としてよく植栽される。がつちりと花を葉を持つて泰山木 山頭火
マツヨイグサ((待宵草) アカバナ科マツヨイグサ属
原産地はチリやアルゼンチン。日本へは江戸時代の末期に渡来。各地で野生化。花径3~5センチくらいの黄色い花を咲かせる。花弁は4枚で、一日花である。月見草とは別種。誰を待つ待宵草の待ちぼうけ 詠み人知らず
ムクゲ(木槿) アオイ科フヨウ属
庭木や生垣として栽植される落葉低木。初秋直径5~6cmの五弁花を開く。この花は美しいが朝開いて夕方にはしぼんでしまう。木槿咲く籬(まがき)の上の南部富士 山口青邨
ヤマユリ(山百合) ユリ科ユリ属
本州中部地方以北の低山帯にはえ、また人家に栽培される多年草。花は夏、径15~20cm強い香気がある。下闇にたゞ山百合の白さかな 正岡子規
ナデシコ(撫子) ナデシコ科ナデシコ属
日本各地の山野にはえる多年草。高さ50~170cm。花は夏から秋までと長く咲く。淡紅色、まれに白い花をつける。秋の七草のひとつ。なでしこや海の夜明けの草の原 河東碧梧桐
クジャクソウ(孔雀草)キク科シオン属
山地の半ば日当たりのよい斜面に好んではえる多年草。7月から9月ごろ、白色から淡紫色の花をいっぱい咲かせる。夕影の紛れ込みゐる孔雀草 詠み人知らず
オシロイバナ(白粉花)オシロイバナ科オシロイバナ属
南アメリカ原産の多年草で、江戸時代に渡来した。夕方から美しく咲き出すので、夕化粧の別名がある。
おしろいの花に残暑の日影哉 正岡子規