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 賢いお金の使い方

 

 つい最近のエッセイで「購入癖(日本人の消費性向)」について語ったので、一般論として賢い「お金の使いかた」とはどのようなものなのか、アンケート結果(http://okane-matome.jp/)から拾い出して観察してみた。
 このアンケートは100人の調査結果をまとめたもので、サンプル数としては少なすぎて、これを一般論として認めるかは別の話として見て頂きたい。
 まずは回答のタイトルで、答えの内容が推察できるものだけを選び出した。その質問のタイトル「賢いお金の使い方」に対する回答であるので、回答者の理想論と言ってもいいものだろう。ランダムに回答の内容の要旨を列記することにする。

1.回答集
 ①「ちゃんと吟味してから買う」②「長期的視野に立った買い物をする」③「クオリティーの高いものを購入」④「大人のつきあいに使う」⑤「節約と消費のバランス考えて買う」⑥「教養を高めるため本の購入に金を使う」⑦「メリハリのある遣い方が賢明だ」⑧「お金は人のために使うのがベストだ」⑨「バランスよく使う」⑩「将来への投資」⑪「人間関係を築くため賢い飲み会代に当てる」⑫「人が認める買い物上手になる」⑬「将来に生かされる使い方」⑭「情報収集のための投資」⑮「世の中に役立つ寄付や援助等」⑯「子供に買ってやる絵本などの教育投資」⑰「本当に必要なものか見定める」⑱「財産として残る物にお金を使う」⑲「思い切った大物買い(家など)」⑳「給料には手をつけない(貯金で生活費をねん出)」㉑「ちょっと質のいいものに奮発する」㉒「安くて高品質な物を買うのがベスト」23「宝くじが当たった時に賢い金の使い方をする」24「必要ないものは買わない」25「かけた以上のお金が自分に返ってくる使い方」26「先の見えない世の中目標のために節約生活する」27「将来につながるお金の使い方」28「自分や人の役に立つことに金を使う」29「使うお金にメリハリをつける」30「ほどほどに使う」31「貯めて熟慮して買う」32「必要なモノで長く使えるモノ」33「勉強に使う・自己投資・自分への投資」34「値段の高い物を買い、長期間使う」35「日本株に投資」36「アマゾンでの商品選び」37「本当に必要なときだけ使う」38「ギャンブルで日常では味わえない興奮を買う」39「自分の身につくものに対しての支出」40「株式や投資信託などに対する投資」41「長い目で見て割に合うものに使う」42「お金の管理を確りする」43「価値を感じるものに使う」44「先行投資・優先順位と重要度の見分け・お金の使い道は自分投資が賢い」45「価値のなくらない物を購入する」46「DVDや本は観たり読んだらすぐ売る事」47「使いたいときに使ったほうがいい」48「教育のために賢明にお金を用いる」
等々である。ほとんどが内容的には重複するので、次の項で回内容を検証して、その傾向分析を行うことにする。

2.類型化
このアンケートは基本情報が欠落していることを最初にお断りしておく。例えば「性別」「年代」「独身・世帯持ち」「住宅事情」「職業の有無」などである。その人それぞれの属性が回答に大きく影響するので、まとめに際し、ある一面という限定での傾向という分析にならざるを得なかった。一つ明確の事はこの調査の対象者が現役世代であることは、上記48個の回答から容易に判断できる。したがって老後世代の金の使い方とは全く違った方を向いていると、私のような年金生活者は思う。
さて、回答内容から仕分けしてまとめていくことにする。

「下調べ型」
・本当にほしいものは、吟味して買う。いろいろな店を回って金額を比較してから購入する。

「先行投資型」
・長期的視野に立って買い物をする。例えばガソリン代などを考え、ランニングコストの低いハイブリット車や電気自動車を初期費用は高くても購入する。
・目先の利益にとらわれず、その時は痛い出費でも元が取れる、先々を考えた交際費の使い方。
・資格取得の勉強や留学など、自分のスキルアップのためにお金を使う。なぜなら、そこで費やしたお金は後により良いキャリア、より高い収入として自分に返ってくる。能力への投資は充実した人生に繋がる。
・将来のために自己投資として学校や習い事に使ったり、知識を得るために書籍を購入したりとその場限りでは終わらないお金の使い方がベスト。
・「本当に自分にとって役に立つこと」や「自分やまわりの人の成長につながること」に金を使う。
・自分の身につくものに対しての支出。資格などは就職する際に有利となる。
・まず投資の仕方が上手な人ですね。不動産投資とか株とかは、先が読める賢い人でないとできない。
・お金の使い道は自分投資が賢い。勿体ない…と思わずにどんどん自分のためにお金を使うのが良い。
・お金に余裕があれば株式投資がしたい。資産運用している人は賢い。

「クオリティ重視型」
・いいものは長持ちして飽きないので、節約して品質の良いものを買う。
・日頃からお金をコツコツと貯めて、 本当に欲しい物を買うために使う。無駄遣いもなくなる。
・本当に欲しい物の為に使う。
・きちんと財産として残るようなものに金を使う。
・生活に必要なものをまとめ買いする。

「均衡型」
・節約と消費のバランスが大切。貯めるのもいいが、お金は使わなければ回ってこない。
・ちょっと高い物は手が届きやすく、壊れた時も心のダメージが軽く済む。
・自身の趣味の範囲に使うお金と、突然の入院や思いがけない出費に備えた、いざという時のために貯めておくお金とがあり、この二つのお金の管理をしっかりする事。

「コスパ型」
・安くて高品質な物を買うのがベスト。例えば高そうにみえるシックな服をセールで安く買う。また、リサイクルショップで美品の服を買う。
・アマゾンでの買い物は選択肢が多く、より堅実な買い物ができる。
・費用をかけても良いものを買って長く大切に使えば結局は割に合うことになる。

「ノウハウ蓄積型」
・読書は心を豊かにする。いらなくなれば売ることもできる。

「メリハリ型」
・家や家具など大きなものを購入するときにケチらずに必要な場所に必要なだけお金をかける。こういう時の支払いに備えて貯金をしておくということを心がけるメリハリの良さは大切だ。

「チャリティー指向型」
・自分のためではなく他人、人のためにお金を使うのが賢い使い方だ。人に喜んでもらったり親切にすれば、後々困った時に助けてくれたり、人脈が広がったりして、お金では買えない縁を手に入れる。
・自分が価値を感じられるものにお金を出すべき。
・より重要なところを見分け、そこにお金かける。
・寄付されている方は賢い以前に人間性が素晴らしいと思う。

「教育重視型」
・子供に買ってやる絵本は高いもので1000円以上する。しかし、小さい頃に上質の絵本に触れていると、潜在意識の中で育まれるものが大きいと感じる。優しさや美意識が育まれる。

「貯蓄型」
・給与に手をつけず、それまでに貯めた貯金で生活費をねん出する。

「棚ぼた型」
・宝くじが当たった時には利殖(10年国債の利子で着実に増やす)とか自己投資(人生を豊かにするための資格や趣味の幅を広げる。
・ギャンブルで日常では味わえない興奮を買うことができる。

「節約優先型」
・必要ないものは買わない。必要な物を必要な時に買う。最小限の買い物しかしない。
・普段はしっかり節約してそのためたお金で旅行にいったり、家の頭金をポンと出せるよう、目標をもって節約する。
・必要最低限の衣食住に絞り込んでお金を使う.

「危機管理型」
・先の見えない世の中では景気は、将来的にどのようにな事態になるのか想像できない面もあるので、お金はしっかりと貯金しておくことが大切。貯金は増えてくる額はそんなに期待できないが、確実に残すことができる。

「資金運用型」
・日本株に投資する。
・株式や投資信託などに対する投資でお金を増やすこと。金、プラチナへの投資でも良い。
・しっかりした金融機関での貯金や投資など将来に備えた使い方。

「家計簿管理型」
・金額はそれぞれに指定し、趣味のお金は設定以上には絶対使わない。いざという時のために貯めておくお金は、「一ヶ月○○○○円」と少額でもいいので、コツコツ積み立てるかたちにする。常にこの考えでお金を管理・使用していく。
以上、このアンケートから仕分けされた「賢いお金の使い方」の類型を示した。

3.調査結果のまとめ
この調査の原題は100人に聞いた「賢いお金の使い方」であるが、賢いかどうかは個人の価値判断であるので、ここでは調査対象者が自分で思ているベターな使い方と判断することができる。
回答内容を仕分けした結果を示すが、この分類は私の独断で「××型」としたものである。
「××型」の次のカッコ内の数字は結果回答数で、その後に各項目の回答をまとめたコメントを付けた。

「下調べ型」(1) あちこちの店を回って比較検討する。
「先行投資型」(9) 将来に備え資金運用で利殖する、備えあれば患いなしである。
「クオリティ重視型」(5) 安物を買わず、品質重視で長持ちするものを買う。
「均衡型」(3) バランスのとれた出費と貯蓄を順守する。
「コスパ型」(3) 品揃えを比較して最良のものを選ぶ。
「ノウハウ蓄積型」(1) ビジネス書籍を購入し、上昇志向する。
「メリハリ型」(1) 大きな出費に備え、確り貯蓄し家などを購入する。
「チャリティー指向型」(4) 人助けに使う「慈善タイプ」でヒューマニスト。
「教育重視型」(1) 子どもの教育に役立つものに金をかける。子どもは宝物。
「貯蓄型」(1) ひたすら貯金する。金があればいざという時に自由に動かせる。
「棚ぼた型」(2) 宝くじやギャンブルで一獲千金をねらる。欲求不満解消にもなる。
「節約優先型」(3) 先ず節約し、必要なもの(衣食住)だけに使う。爪に火を点すように貯める。
「危機管理型」(1) 先が読めない将来に備える。専守防衛が身を助ける。
「資金運用型」(3) 株式・投資信託・貯金など財産を増やす。利殖が一番。
「家計簿管理型」(1) 収入・出費をコントロールするお金を計画運用するのに必要。
以上14の分類(39回答分)ができた。
一番は先行投資であり、これは資金運用・危機管理と重なるので、数としては最も多く、全体の30%近くを占める。お金のある人はこうした形で資産を増やしていく。これを見ても世の中では貧富の格差が広がる模様が見えてくる。
2番目がクオリティ重視で、確かに品質が良いものは長持ちし、飽きがこないのは確かで賢い買い方であることが読み取れる。この裏返しに節約志向の人は100均ショップなどを利用することが多い。これは考え方の相違で、用が足りればそれでいいという考え、ブランド志向は無駄遣いまたは自己満足と考えるかも知れない。 
調査対象者が子育て世代のように見えるが「教育投資」が少ないのが気になる。将来に備え節約もいいが、今を豊かにという発想がもっと多くあってもいいのではないかというのが、私の感想である。それが今回の調査から見える結論と言えよう。(2017.8.8)







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