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 老いて後に(禅に学ぶ7)


 道元の思想を最も明確に示しているのが、『正法眼蔵』 の冒頭の『現成公案』 である。ここを理解することが、道元の考え方を知る上で欠かせない難関である。
 『現成公案』 に関する解説書は多く出ているが、その中から山田史生の著作「絶望しそうになったら道元を読め!」を参考書として解明していくことにする。私は別にこの書のタイトルにあるような状況では全くないが、副題の「『正法眼蔵』の『現成公案』だけを熟読する」に惹かれて求めたものである。
 『現成公案』は2,500字で成り立っている。これが極めて難解であるということで、何万字にのぼる解説書が多数出ている。それで多くの言葉を使って、分かるように努めるのだが幹の分より枝の分が多すぎて、却って幹が見えなくなってしまうという変な現象すら生じている。
 果たしてこれから取り上げる解説などを通じて、少しは道元の思想に近づけるか試みてみる。
 最初の冒頭の4つの文節を英文併記で示すが、この文節のみで解説するのに、1章に匹敵する言葉を要するので、今回はその原文と翻訳文のみを示すに止める。次回以降文節ごとに解説文を要約して紹介する。
 「諸法の仏法なる時節。すなわち迷悟あり、修行あり、生(しょう)あり、死あり、諸仏あり、衆生(しゅじょう)あり。
 万法(まんぽう)ともにわれにあらざる時期、まどひなくさとりなく、諸仏なく衆生なく、生なく滅なし。
 仏道もとより豊倹(ほうけん)より跳出(ちょうしゅつ)せるゆゑに、生滅(しょうめつ)あり、迷悟あり、生仏(しょうぶつ)あり。
 しかもかくのごとくなりといへども、花は愛惜(あいじゃく)にちり、草は棄嫌(きけん)おふるのみなり」
(英語訳:ネルケ無方)Genjokoan
At the time when you awaken to the way things really are,you will see that here is your delusion-awakening and here is your practice,here you are living and here you are dying:here you are ,as an awakened one and as a suffering being.
When the ten thousand things have no substance,you are no longer deluded nor awakened,neither an awakenend one nor a suffering being,neither born nor perishing.
Originally,the way of awakeneing transcends lack and abundance,and there is life-death,there isdelusion-awakening,there are living buddhas.
This is just the way it is: Blossoms fall and you lament it,grass grows and you hate it.And that is all.


 


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