第三話　鳩の孝行

　昔々のお話です。
　鳩はほんとにヤンチャで、ちっとも親のいうことを聴かない子だったそうです。親が山へ行って働きなさいといえば田へ行き、田へ行けといえば畑へ出て働いていました。
　親は死ぬ時に静かな山に葬ってもらいたかったのですが、そう言うとまた反対のことをするだろうと思ってわざと川原へ埋めてくれと頼んで死んだそうです。
　ところが鳩は親が死んでから、始めて親の言うことを聴かぬのは悪かったと気付きました。そうして、今度は親の言いつけ通りに、河原に行って親の墓を建てたのだそうです。しかし川のふちでは、水が出るたびに墓が流れそうで気がかりでたまりません。
　そういう訳で今でも雨が降りそうになると、このことを思い出して悲しくなって「トトッポッポ・親が恋しい」といって鳴くのだそうです。
　もう少し早くから、親のいうことを聴いておけば良かったのにというお話です。(能登地方)